福永騎手はフェニックス賞・2番人気以内馬の連対率100%!東大HCが「2歳オープン」を徹底検証

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「ミスターフェニックス賞」福永祐一
6月から始まった2歳戦も2ヶ月を経過し、各路線で少しずつ勢力図が見えてきた。秋競馬で本格化していく重賞戦線に向けて楽しみは広がるが、夏競馬でも数多くの重賞、そしてオープン競走が組まれており、先週の新潟・ダリア賞に続いて今週は土曜に小倉でフェニックス賞、札幌でコスモス賞が行われる。今週のコラムテーマは「2歳オープン」。単なる馬券だけでなく、POGプレイヤーにとっては大きなポイント加算がかかる熱い戦いについて、データを駆使して分析していく。
※データの集計期間は2010年8月14日〜2020年8月8日

まずは騎手別成績を確認する。例に漏れず圧倒的な数字を叩き出しているルメール騎手は、単勝回収率140%、複勝回収率126%と回収率もプラス域と隙がない。2016年以降に限ると【9-8-5-3】複勝率88.0%まで上昇し、さらに2番人気以内に限ると【9-7-1-1】と鉄板級になる。今週のコスモス賞ではカランドゥーラに騎乗、前走2着とはいえメンバー構成から上位人気が濃厚。軸に最適といえるだろう。
2歳戦でのソツのない騎乗が光る福永祐一騎手も勝利を積み重ねており、継続騎乗では過半数の馬を馬券圏内に導いている。ヨカヨカとのコンビでフェニックス賞に臨むが、「ミスターフェニックス賞」の異名を献呈したくなるほど同レースとの相性が良く、通算成績は【6-2-0-3】連対率72.7%。2番人気以内では【6-2-0-0】とパーフェクトだ。九州産馬悲願の桜花賞出走に向け、確勝級のデータが収得賞金上積みを後押しする。
また単勝回収率260%を強調したいのが柴田大知騎手。サラブレッドクラブ・ラフィアンやビッグレッドファーム所有馬で穴馬券を演出し続けており、該当条件では狙い撃ちたいところ。その他、今週の2歳オープンで騎乗予定の騎手では、武豊騎手が【2-5-6-20】ながら単勝回収率7%とアタマでは妙味がなく、ホッカイドウ競馬からコスモス賞に参戦する桑村真明騎手は【0-0-0-15】、阿部龍騎手は【0-0-0-11】と3着以内がない。
友道師のレース選択の意図を読め

調教師別データでは、見事なレース選択に定評がある友道康夫調教師の管理馬が走っている。単勝回収率118%とこれもプラスになっていて、前走から距離短縮・延長と何らかの意図が見えるレース選択の場合は【4-1-2-0】と全頭が馬券になっているのもさすがの手腕だ。
2歳オープンを勝った馬はクラリティスカイ(いちょうS→NHKマイルC)、ワグネリアン(野路菊S→日本ダービー)、アドマイヤマーズ(中京2歳S→GⅠ3勝)と出世するケースが非常に多いので、追いかけていく価値がある。
また手塚貴久調教師も60.0%の複勝率を誇っている。コスモス賞に出走するカランドゥーラを管理する藤沢和雄調教師は、3番人気以内で【3-6-1-3】複勝率76.9%と4頭に3頭以上が馬券になっており、十分に買えるデータだ。その他、スワーヴリチャードを管理していた庄野靖志調教師が【2-4-2-3】複勝率72.7%と安定している。
社台系の強さが目立つ

興味深いデータが出たのは馬主別成績。とにかく社台系が強いことがおわかりいただけるだろう。GⅠレーシングは驚異の複勝率85.7%を誇り、アイビーS2着のペルシアンナイトはここから皐月賞2着→マイルCS1着と羽ばたいた。
吉田勝己氏所有馬は単勝回収率123%・複勝回収率117%と買っておいて損はなく、12頭立て以上のレースでは【1-2-2-0】と完璧。シルクレーシングは好走率もさることながら、昨年2歳オープン戦に出走したオーソリティ(芙蓉S1着)、ラウダシオン(もみじS1着)、ギルデッドミラー(萩S5着)の3頭全てが後に重賞で馬券になるなど、ビッグレースでも存在感を見せた。ミスのないレース選択と牧場側との連携がとれた仕上げには、今後も期待が持てるだろう。
金子真人ホールディングスの所有馬はとにかく凡走が少なく、2012年ホープフルSを3着したカミノタサハラから13回の出走機会で4着以下は1回のみだ(馬券外は2018年アイビーS8着のハヤヤッコだが、この馬はレパードSを勝ったダート馬だった)。出走があれば信頼のできる軸馬の第一候補となる。その他、【4-1-0-0】のゴドルフィンも見逃せない。
出走頭数が群を抜いているサラブレッドクラブ・ラフィアンは【9-8-8-53】、複勝率32.1%。柴田大知騎手が騎乗すると複勝率は40%を超え、単勝回収率は143%と大いに狙える。またビッグレッドファーム所有馬は1200m戦で【1-2-1-18】、複勝率18.2%で、ミルファーム祭りとなった新潟千直の新馬でワンツーを決めたピュアエール、ウキウキホリデーの2頭がフェニックス賞に出走を予定している。
前走逃げは過信禁物?
最後に距離別で買いたい馬をピックアップしていく。フェニックス賞の舞台となる1200m戦では、逃げ一辺倒の馬をあえて買わないことが馬券のキモだ。前走4角先頭の馬が複勝率26.5%、単勝回収率69%とイマイチなのに対し、4角2〜5番手では複勝率27.5%、単勝回収率139%と完全に上位互換の成績を残している。スピードが身上だが、逃げの経験しかない馬は意外な弱点が多く、今年も函館2歳Sのモンファボリが単勝1.5倍で13着と大敗するということもあった。逆に先行抜け出しの王道で勝ってきた馬は穴が少なく、前走同距離組は単勝回収率146%とさらに数字が上がることを考えればヨカヨカ、セレッソフレイムあたりが浮上してくる。
コスモス賞が行われる札幌の1800m戦は、前走マイルからの距離延長がズバズバ刺さっており、該当馬は【11-10-8-37】、複勝率43.9%で単勝回収率と複勝回収率はともに90%台と水準以上だ。さらに勢いづくのは前走と同一騎手組の【10-4-5-18】、複勝率51.4%、単勝回収率122%と2番人気以内の【7-5-2-5】、複勝率73.7%というデータ。ともに該当するであろうウインアグライア、カランドゥーラで堅いか。
その他レース数は少ないが、マイル戦は黙って【5-5-4-7】、複勝率66.7%、複勝回収率108%のノーザンファーム生産馬を買うのみ。生産馬は、2014年の中京2歳Sで1着となったケツァルテナンゴから出走機会9回連続で馬券になっている。2000m戦は間隔があけばあくほど好走率、回収率が優れており、中3週以上では【11-9-10-64】、複勝率31.9%、単勝回収率141%となっている。
