【レパードS】ラインベックの評価は?鍵を握るのはユニコーンSとジャパンダートダービー PP指数で今年の3歳ダート路線を紐解く!

山崎エリカ

レパードS PP指数 インフォグラフィック

ⒸSPAIA

最もレベルが高かったのはユニコーンS

今年で12回目となるレパードSは、ユニコーンS、ジャパンダートダービーに続く、3歳馬限定のダート重賞の最終戦。トップクラスはGⅠのジャパンダートダービーを目指すことが多いため、レパードSは例年、「ジャパンダートダービーの敗者vs距離を嫌ってジャパンダートダービーに出走しなかったユニコーンSの出走馬vs上がり馬」の対戦図式となる。

今年のジャパンダートダービーは、ダートで3戦無敗、ユニコーンSでは緩みないペースを2番手追走し、後続を引き離して完勝したカフェファラオが大本命の扱いを受けたものの、7着に大敗。3歳ダート路線はそれまで比較的に順当サイドの決着だったが、レパードSは一気に波乱度が高まった。その理由として、ジャパンダートダービーの優勝馬が、鳳雛Sで14着と大敗を喫したダノンファラオだったことも影響しているだろう。

2020年レパードS PP指数


これらの要因がユニコーンSやジャパンダートダービーのレベルを曇らせるが、今年の3歳ダート路線で最もレベルが高かったのは、ユニコーンSで間違いない。実際にユニコーンSでカフェファラオが記録した指数は「-29」で、同馬に0.8秒差離された2着馬が、青竜Sの勝ち馬でもあるデュードヴァン。今回のメンバーの中では、能力値は1位である。

カフェファラオがジャパンダートダービーで敗れたのは、休養明けで古馬重賞クラスの指数を記録したために、二走ボケを起こしたと考えるのが順当だろう。他にも敗因があるが、それはミヤジコクオウの項目で説明する。

またジャパンダートダービーも、優勝馬のダノンファラオが3着馬キタノオクトパスを1.3秒差も離しているように、ユニコーンSに次ぐハイレベルで指数は「-28」。ダノンファラオが鳳雛Sで14着に敗れたのは、例年よりもタフな京都のダートで前半4F47.4-後半4F51.1という超絶ハイペースに巻き込まれたことによるものだ。

もちろん、兵庫チャンピオンシップが目標で、そこで2着と好走した疲れもあっただろう。同馬とのマッチレースを制したバーナードループは、次走のジャパンダートダービーでは8着に敗れている。また、ジャパンダートダービーの2着馬が、鳳雛Sでも2着だったダイメイコリーダだったことからも、ジャパンダートダービーはレベルが高く、また、鳳雛Sもそれなりのレベルにあったことを証明してくれている。

最有力は鳳雛Sの優勝馬ミヤジコクオウ

鳳雛Sは、スタートしてすぐに1コーナーがある京都ダート1800mが舞台。逃げ、先行馬が集ったことに加え、最内枠に逃げ馬プレシオーソが入り、同馬が積極的にポジションを取って逃げる形となった。前記の超絶ハイペースとなる中で2番手追走し、2着を死守したダイメイコリーダがラスト1Fで脚が上がったところを差し切ったのがミヤジコクオウだった。

しかしその次走のジャパンダートダービーで2番人気に推されたミヤジコクオウは人気を裏切り、勝ち馬から大きく引き離された5着に敗れている。前半5F61.3-後半5F64.6の超ハイペースで流れた中で、出遅れたにもかかわらず無理に脚を使ってカフェファラオを徹底マーク。休養明け好走後の距離延長という課題があるうえに息を入れられず、早仕掛けをせざるを得なくなったカフェファラオ共々、苦しいレースになった。

このレースで崩れたことによって大きく能力値を下げたが、それでも5位。最高値「-23」も、ここではデュードヴァンに次ぐ2位の存在だ。この時期の3歳馬は成長力という要素も加味しなければならないが、あくまでも馬券圏内と考えるならば、ミヤジコクオウがお薦めだ。

能力値1位のデュードヴァンの評価は?

能力値1位は、青竜Sを勝利し、ユニコーンSでも2着と好走したデュードヴァン。この馬はダートで4戦3勝、2着1回という実績から、今回は1番人気に支持される可能性が高い。しかし青竜S、ユニコーンSともに超絶レベルのハイペースで、前がバテたところを差しただけに過ぎない。

近2走は3、4番人気とそれほど人気がなく、マークされない立場だったからこそ、騙し討ちのような競馬ができた。しかし、人気を背負う立場でジャパンダートダービーのカフェファラオのように脚がタメられなかった場合に、脆さを見せる可能性は十分ある。

しかも、新潟ダート1800mは最後の直線が短く、直線に向いてから動いたのでは、前を捕らえきれない可能性が高い。「1着」を意識するならば、昨年の優勝馬ハヤヤッコや2011年の優勝馬ボレアスのように、3〜4コーナーから動いて行く必要がある。末脚を生かす己のスタイルを貫けば、2着、3着に来ることはできると見ているが、早仕掛けをした場合には崩れる危険性も視野に入れておこう。

能力値2位のラインベックは一長一短がある?

能力値2位は、初ダートだった前走の西脇特別(2勝クラス)を逃げ切ったラインベックだ。競走馬はずっと芝のレースを使われると身体も走法も芝仕様となるため、初ダートでいきなり結果を出す馬というのは、ダートへの適性が高いということ。それだけにダートに慣れた今回は前進する可能性もある。

しかし、前走は高速ダートで脚抜きが良く、スローペースで逃げられたということが勝利につながった。今回はテンに速い馬が多く、逃げられない可能性が高いこと、さらにペースが上がった場合やキックバックを食らった場合の不安もある。現時点では、一長一短がある馬という認識でいいだろう。

能力値3位は、ダート1200mの新馬戦を勝利し、その後は距離を延ばして上昇一途のブランクチェック。前走では古馬が相手の2勝クラスを完勝している。競走馬はデビューから5戦目までは上昇力を見せることが多く、上昇過程のキャリア4戦目ながら、能力値3位にランクインしている時点で素質馬と受け取ることができる。

平均ペースだった前走、2番手から正攻法の競馬で結果を出している点に好感が持てるものの、マイルで厳しい流れを経験したことがない馬が、1800mでハイペースになった場合スタミナ面がどうかという不安はある。脚をタメる競馬をするのであればな積極的に狙いたいが、そういう競馬をさせてもらえるかは「?」。あくまでも相手候補の一頭だろう。

能力値5位は、ダート1400mの1勝クラスと神鍋特別(2勝クラス)を連勝したタイガーインディだ。同馬はこれまで逃げて2勝を挙げた馬。以前は逃げられないと脆い面があったものの、前走は2番手から抜け出して完勝。逃げずに勝てたことは収穫ではあったが、1800mはおろか、1600mも未経験の馬。スピードタイプの短距離馬だけに、一気距離延長となると狙い下げたい。

距離延長で条件が好転しそうなニュートンテソーロ

伏兵馬として面白い存在なのは、デビュー2戦目でダノンファラオと0.2秒差の2着に好走した実績があり、5走前のダート1800m戦で初勝利を挙げたニュートンテソーロ。前走で騎乗した戸崎騎手が「距離がもっとあったほうがいい」とコメントしているように、マイルだとスピード負けして、中団の外々からのロスの大きい競馬になることがほとんど。それだと前々走のように前が崩れる展開にならないと、上位争いに加われない。3走前の1勝クラスで、終始緩みないペースの2列目の外を追走し、ケンシンコウに0.2秒差の3着に食らいついたしぶとさからも、距離延長で条件が好転すると見ている。

その他では、前々走の鳳雛Sでミヤジコクオウを徹底マークして3着と好走したバンクオブクラウズ。道中はミヤジコクオウの外からのレースになったため、距離ロスもあった。1番人気に支持された前走のインディアトロフィーは、じわじわ追い上げて行く競馬で消耗したが、前々走のように後半に徹する競馬なら、一発あっても不思議ないだろう。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)デュードヴァンの前走指数「-21」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.1秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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