【関屋記念】「外枠有利」「前走重賞組が優勢」 当日まで覚えておきたいデータ

勝木淳

2020年関屋記念データインフォグラフィックⒸSPAIA

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巻き返しに優位な枠順とは

1964年東京オリンピックの年まで新潟競馬場は関屋にあった。関屋記念はいわば新潟競馬場の歴史を今日に示す重賞競走である。

舞台は芝1600m。直線競馬に次ぐもうひとつの名物、正面直線659mが勝敗を決する。日本の競馬場で唯一いわゆる上がり3ハロン(最後の600m)がすべて直線部分になるため、とにかく高速決着になる。

リニューアル元年の01年は勝ち時計1分31秒8。マグナーテンが記録したこの時計に当時は騒然となった。関屋記念最速記録は12年ドナウブルーの1分31秒5。01年以降31秒台の決着は7回もあり、春の東京マイルGⅠで記録される時計とそん色ない記録が生まれるレースだ。

高速決着ゆえなのか、馬券的には上位人気が固い(なおデータは過去10年間のものを使用する)。

人気順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

1人気【3-2-1-4】勝率30%、複勝率60%、4人気以内は【8-5-5-22】勝率20%、複勝率45%。10年で8勝だからまずは上位人気馬を入念に検討するところからはじめたい。

勝ち馬は7人気まで、2、3着は10人気以内で、11人気以下は【0-0-0-60】。大穴狙いは禁物、アタマ狙いは中穴まで、複勝圏内は10人気までというのがデータから読める。

枠番別成績(過去10年)ⒸSPAIA

高速決着の新潟マイル戦、ロスがすくない内枠がいいかと思いきや、このレースでは7枠【5-1-1-17】勝率20.8%、複勝率29.2%、8枠【3-3-1-18】勝率12%、複勝率28%と外枠が優勢である。

7、8枠は10年で8勝、フルゲート18頭では3頭ずつ入る7、8枠ではあるが、それを差し引いてもこれはちょっと見逃せないデータだ。

7枠の馬の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

だからこそちょっと掘り下げてみた。7枠の馬の前走着順別成績をみると、前走1着【1-0-0-3】があるので、完ぺきとはいえないが、前走敗退組が7枠から好走している。

前走5着【2-0-0-1】、前走6~9着【1-0-1-4】、前走10着以下【1-0-0-7】、5勝中4勝が5着以下からの巻き返しだった。

8枠の馬の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA"

じゃあ8枠はどうなのかと調べると、前走1着【1-2-0-1】と準パーフェクトだった。だが前走6~9着【2-0-1-8】7枠ほどではないが、やはり前走敗退組も好走可能。関屋記念の外枠はなにやら大きなアドバンテージがあるようだ。

ポイントになる前走中京記念組

つづけて別角度から探るために前走距離別の成績をみてみる。

前走距離別成績(過去10年)ⒸSPAIA

同じマイル戦出走馬は【6-7-5-83】、出走頭数が多いレンジなので勝率や複勝率は高くはないが、10年間の馬券圏内30頭で18頭が前走マイル戦出走馬なので、当然ながら目を離せない。頭数が少なく登録馬に該当する馬がいない可能性もあるが前走2000m組【2-1-0-6】勝率22.2%、複勝率33.3%は見過ごせない。

圏内に来た3頭は10年6人気1着レッツゴーキリシマ(前年福島記念7着)、15年6人気2着マジェスティハーツ(鳴尾記念2着)、17年7人気1着マルターズアポジー(七夕賞11着)。今年の登録馬に該当する馬がいれば穴に一考だろう。いない場合もあるので主力の前走マイル戦出走馬を調べる。

前走1600m組の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

前走1着は【1-2-0-9】勝率8.3%、複勝率25%。前走マイル戦1着馬なんてプロフィール的には上位人気におされておかしくないが、それを考えると好走率はそうでもない。注目は前走ギリギリ掲示板という5着馬【2-2-1-5】勝率20%、複勝率50%は熱い数字だ。

中京記念5着ミッキーブリランテが出走想定にある。前走は自ら早めに動きハイペースを誘発した馬だけに舞台替わりで一変する可能性は十分にある。最後に前走クラス別成績を。

前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

夏のGⅢらしく上がり馬にあたる前走3勝クラス出走馬【2-1-1-8】勝率16.7%、複勝率33.3%と好走。こちらも出走があれば注意だ。反対に夏のGⅢでは明らかに格上の前走GⅠ組【3-1-2-16】勝率13.6%、複勝率27.3%も好成績。

前走GⅠ組の前走レース別成績(過去10年)ⒸSPAIA

前走Vマイル組は【0-0-1-4】とどうもイマイチで気になる。もっとも頭数が多い前走GⅢ組は【4-8-4-63】、確率は高くはないが、10年で2着8頭と看過したくない。

前走GⅢ組の前走レース別成績(過去10年、主要レースのみ)ⒸSPAIA

中京記念組【2-5-2-38】と目立つが、ここはサマーマイルシリーズだけに頭数も多く、評価の上げ下げが難しい。先述のミッキーブリランテが怖いが、ハイペースを誘発したもう1頭トロワゼトワルが出走すればおもしろい存在になりそうだ。スローになりがちな新潟マイル戦で単騎逃げであれば、昨秋の京成杯AH逃げて1分30秒3の記録がいきてくる。6~8月3勝の夏おんなだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020年関屋記念データインフォグラフィックⒸSPAIA

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