【クイーンS】先週末は3着以内馬の45.2%が差し脚質 56kgも馬場・展開が向きそうなフェアリーポルカを信頼

三木俊幸

2020年クイーンステークス分布図ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

2、3着馬の72.2%が差し・追込馬

夏の北海道から秋のビッグレースを目指す牝馬たちによって争われるクイーンS(GⅢ・芝1800m)。現在2連勝中のフェアリーポルカ、昨年の2着馬スカーレットカラー、重賞2勝のコントラチェックなど好メンバーが揃った。

馬場適性の観点から予想・分析するにあたり、まずは函館開催となった2013年を除いた過去9年のクイーンSの結果からレース傾向について見ていこう。

過去10年のクイーンSの結果ⒸSPAIA



1分45秒台の高速決着になることもあるが、9年中5回は1分46秒台後半から47秒台前半の決着となっている。上がりタイムも小回りの洋芝コースということもあり、34秒台後半から35秒台前半の決着が多いが、33秒台後半の上がり決着になることもあるので、その点には注意しておきたい。

開幕週に行われることが多く、過去9年はいずれも良馬場での開催となっていただけに、勝ち馬は7頭が逃げ・先行脚質だった。しかし、2着と3着馬に注目してみると、対象馬18頭中10頭が差し馬、3頭が追込馬と72.2%が中団より後方からレースを進めており、意外な結果が見られた。

その理由として、札幌競馬場は小回りコースで洋芝の力が要る競馬場であるが、同じ北海道の函館競馬場と比較すると、コーナーの半径が大きいという点が挙げられる。緩やかなカーブが続くため、仕掛けひとつで勢いに乗って直線へと向かうことができるので、開幕直後でも差し馬の台頭がしやすいということなのだろう。

1800mの新馬戦で上がり33.6

続いて先週末の7月25日(土)と26日(日)に札幌競馬場の芝コースで行われた14レースの結果から馬場傾向について分析していく。

7/25・26 札幌芝コースの勝ちタイムと上がりⒸSPAIA



日曜日に行われた3歳以上1勝クラスの1800m戦では1:47.9、同じく3歳以上1勝クラスの1500m戦で1:28.2というタイムが計測されていた。また上がりタイムも1500m以上のレースでは34秒台後半〜35秒台後半の決着が多く、勝ちタイムと上がりともに過去のクイーンSと遜色ない決着になると予想する。

ただし、バスラットレオンが勝利した1800mの新馬戦では、前半1000mの通過が1:05.1とスローペースだったということもあるが、上がり33.6の決着となっていることからも、小回りコースで速い上がり決着に対応した実績がある馬は押さえておきたいところだ。

7/25・26 札幌芝コースの通過順位ⒸSPAIA



3着以内に入った馬、42頭のうち45.2%にあたる19頭が差し・追込馬と先述した理由から、差し馬の台頭も見られた開幕週の札幌競馬。しかし、勝ち馬に限ると15頭中(1着同着があったため)10頭が逃げ・先行馬となっており、勝ち切るにはある程度前目でロスのない競馬をすることが求められる。

穴で注目したいのはレッドアネモス

ここからは馬場適性分布図をもとに、注目出走馬の適性について見ていく。分布図の縦軸は高速馬場に強いスピード型か時計のかかる馬場に強いパワー型かを示す指標、横軸は上がりの速い馬場を得意とする瞬発力タイプか上がりのかかる馬場を得意とする持続力タイプのどちらに分類できるかを表している。

なお、各馬の配置はベストパフォーマンスを発揮できる舞台設定を表したものである。

2020年クイーンステークス馬場適性分布図

【フェアリーポルカ】
2走前の中山牝馬S、前走の福島牝馬Sと牝馬限定重賞を連勝して勢いに乗って参戦する。差し馬ながら、ロスなく立ち回る競馬を得意としており、札幌の洋芝と差し馬も馬券圏内に好走できる馬場も合っている。さらに逃げたい馬が揃っており、ペースは流れそうなので展開も向きそう。斤量56kgでの出走となるが、軸としての信頼度は高い。

【スカーレットカラー】
昨年のクイーンSでは、中団追走から上がり33.4の末脚で追い込み2着。適性の高さは証明済み。前走のヴィクトリアマイルは同馬にとって速すぎる馬場でのレースだったのに加え、主戦の岩田康騎手が負傷で騎乗できなかったのも痛かった。それだけに、実績あるコースとクセを知り尽くしている騎手が騎乗できる今回は、巻き返し必死だ。

【コントラチェック】
馬券圏内に好走しているのは、中山、札幌、函館といずれも直線が短いコース。また勝利した4勝全てが逃げる競馬をした時と条件が限られている。今回はコースに関しては文句なしだが、逃げる競馬ができるかと言われれば、同型のタガノアスワドやナルハヤ、モルフェオルフェがいるので展開的には不安要素が大きい。

【ビーチサンバ】
33秒台の上がりを使っていいレースはするものの、掲示板が精一杯のレースが続いている。勝負どころでモタモタする感じがあるので1600mでは忙しく、2000mは長いイメージがあり、なおかつ時計が速い馬場での瞬発力勝負では切れ負けする印象。それだけに札幌1800mという条件がぴったりとハマれば、巻き返しがあっても不思議ではないので、今回が狙いどころではないだろうか。

【カリビアンゴールド】
昨年のクイーンSでは9番人気で3着、33.8の上がりを使っている。今年もさほど人気にはならない見込みなので、馬券的にも外せない。昨年は5-7-6-6という通過順でレースを進めたが、今回騎乗する藤岡康騎手が跨がった時にはもう少し積極的に騎乗することが多いので、前走同様に先行するレースとなるだろう。

【リープフラウミルヒ】
好位からレースを進めることができ、1800mという距離もベスト。今回と同じ札幌1800mで行われた8走前の藻岩山特別では1:46.7というタイムで勝利しており、時計面も問題なし。420kg前後と小柄な馬なので、滞在競馬もプラスに作用する。

【レッドアネモス】
注目したいのは2走前の福島牝馬S。スタンド前で頭を上げる仕草を見せ、一旦落ち着いたかと思えば2コーナー手前で再び折り合いを欠き、位置を下げる。3コーナーから追われて徐々に進出するが、前が狭くなったのか酒井騎手が手綱を抑える場面もあり、チグハグなレースとなった。そうした中で、大外を回して0.6秒差の6着であれば悪くない。穴で面白い存在としてピックアップしてみた。

▽クイーンS予想▽
◎フェアリーポルカ
○リープフラウミルヒ
▲ビーチサンバ
△スカーレットカラー
×カリビアンゴールド
☆レッドアネモス

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