夏の小倉開幕!芝は冬とは全く違う傾向 注目の血統はグレイソヴリン系

鈴木ショータ

夏の小倉血統インフォグラフィックⒸSPAIA

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冬の小倉実績はほぼ無視

2020年の1~3月の小倉開催は、例年になく降雨が多かった。芝は89レース行われたが、良馬場はたったの28レース。そのため、馬場が荒れかなりパワーを要する良馬場だった。そこで、実際にどれだけパワーを要する馬場だったのか、2020年の冬開催と昨年の夏開催で各距離の平均タイムを比較。

1勝クラスの平均タイム:良馬場ⒸSPAIA

冬開催の方が、約2秒ほど遅かったことが判明。これは、同じ良馬場という条件下において、全く異なる馬場だととらえていいだろう。事実、冬開催は2種類の芝(野芝と洋芝)を混合して施行されるのに対し、夏開催は野芝のみの馬場を使用される。物理的にも異なる馬場といえる。

以上のことから、今年は例年以上に冬の小倉実績を無視して予想した方が良いと判断。そして、夏の小倉は速い時計での決着になるので、持ち時計に注目して予想するのが得策。

芝で要注意血統はグレイソヴリン系

夏の小倉は、毎年注意しなければいけない血統がある。それが、グレイソヴリン系だ。

具体的な種牡馬で言えば、アドマイヤコジーン、アドマイヤベガ、ハーツクライ、カンパニー、ルーラーシップ、ジャングルポケット、タニノギムレット、ジャスタウェイ、トーセンジョーダンなど。少しさかのぼれば、トニービン、タマモクロスなどだ。

夏の名物重賞小倉記念においても、グレイソヴリン系が勢力を増してきた2006年以降では3着以内馬42頭中17頭が父、または母父がグレイソヴリン系であった。2007年はサンレイジャスパー、ニホンピロキースが6-7番人気で1.2着。2010年はニホンピロレガーロ、バトルバニヤンが9-4番人気でこれまた1.2着。2011年はキタサンアミーゴ、リクエストソングが15-8番人気で2.3着。1着がメールドグラース、3着がノーブルマーズと人気決着になった2019年もそれぞれ、父ルーラーシップとジャングルポケットだった。

一方、超人気薄の激走も多い。11番人気クランモンタナ、15番人気キタサンアミーゴ、16番人気ダンスアジョイ、11番人気ケンブリッジレーザなど二桁人気の馬も来ているのだから、これはもう適性以外の何物でもない。

小倉記念だけでも爆発力が凄まじいが、平場のレースでもこの予想法は使える。グレイソヴリン系の血を持つ馬の夏の小倉成績を全て調べてみた。

夏の小倉芝コースのグレイソヴリン系ⒸSPAIA



父グレイソヴリン系は単複ともに70%台と少々劣っているが、母父グレイソヴリン系は単複ともに93%、そして母母父グレイソヴリン系は単勝回収率109%、複勝回収率89%と今もなお高い回収率を誇っている。

正直なところ、「夏の小倉はグレイソヴリン系狙い」というのが競馬ファンにも増えつつある。しかし、母父、母母父狙いにおいてはまだまだ狙える。

株式相場の用語に「知ったら終い」とある。競馬も同じで父欄でグレイソヴリン系を探す人がいるが、母父、ましてや母母父まで調べる人は少ない。そのため、まだまだ高い回収率が期待できるのだ。

ルーラーシップ産駒に注目

今後、注目の種牡馬を挙げるならルーラーシップだ。上記で「父グレイソヴリン系は少々劣っている」としたが、ルーラーシップは正式には父キングカメハメハのキングマンボ系のためグレイソヴリン系ととらえる人が少ない。今後は、高い回収率になってくるのではないかと予想している。

産駒の特徴を見てもルーラーシップの母父であるトニービンの影響が強く出ているため、個人的にはグレイソヴリン系と判断し、小倉で狙い撃ちたいと考えている。

代表産駒にもなるメールドグラースは小倉記念を含め、小倉で3戦3勝。 ブライトムーンも【4・2・1・4】、ミヤビパーフェクトは【2・1・0・1】。今はまだ産駒の出走が多くないが、今後注目するなら小倉の芝はルーラーシップ産駒だ。

ライタープロフィール
鈴木ショータ
競馬伝道師。競馬エイトトラックマンを経てフリーに。オリジナルのweb競馬新聞「PDF新聞」を毎週発行。根っからの大穴党で、馬券格言は「人の行く裏に道あり”穴”の山」

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