【アイビスSD】アユツリオヤジ本命の理由は?ラスト1Fから見える可能性 レース分析から読み解く各馬の「潜在能力」
坂上明大
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上がり1F最速は3、5着馬?
JRA唯一の直線競馬重賞「アイビスサマーダッシュ」。特殊条件+別定戦でリピーターが生まれやすい条件は揃っているが、旬の短いスプリンターのためか意外にも過去10年での前年3着内馬の連続好走は3頭のみ。近走内容が非常に重要な重賞といえるだろう。
【韋駄天S】
元来、外枠有利のコースレイアウトに加え、開催最終週で馬場の傷みによる外有利(=内不利)のトラックバイアスが続いた。1~4、6着馬は2桁馬番からの好走であり、コースバイアスとトラックバイアスを味方につけた形だ。
1着馬ライオンボスは57.5キロのトップハンデを背負いながらも、好スタートから2番手の競馬。これで同コース5戦4勝。枠の利はあったし、余裕のある勝ち方でもなかったが、斤量差を考慮すれば着差以上に強い勝ち方ではあった。
2着馬ジョーカナチャンは7枠14番からハナを切り、アタマ差の2着としぶとく粘った。ただ、ライオンボスとの斤量差は4.5キロから3キロに。勝ち切るには展開等の助けがほしい。
3着馬ダイメイプリンセスは、中団から差し遅れ気味の3着。進路取りに苦労して、上がり1Fはメンバー中最速タイの11.0秒。勝ち馬との斤量差は1.5キロから1キロとやや詰まるが、勝負付けが済んだと下すのは早計か。ただ、年々テンのスピードが遅くなっているため、展開に左右されやすいタイプではある。
5着馬ナランフレグは最後方からのレースとなった。前が空いたのは残り200m過ぎで、上がり1Fはダイメイプリンセスと並びメンバー中最速タイの11.0秒。加えて、4枠8番と枠のハンデも背負っており、初の直線競馬としては十分に評価できる。2戦目で、もう少し前のポジションを取りたいところだ。
6着馬クールティアラは大外枠から0.5秒差。現状はやや力不足か。
9着馬カッパツハッチは軽めの調整過程で8キロ増。上積み大。
7着馬ラブカンプーと11着馬ミキノドラマーは内枠だった分をやや加点したい。
ラブカンプー復活の要因は?
【CBC賞】
開催5週目、Bコース2週目で馬場は消耗しており、宝塚記念が行われた前週に雨馬場で競馬が行われたことが影響していた。そのためCBC賞前日の土曜日は「外有利」の競馬が続いたが、30℃近くまで気温が上がり、徐々に馬場が乾くにつれ内側を通過した馬の好走が増加。日曜午後の好走馬平均進路が4.4頭目、内回りに限っては3.8頭目とかなり内側にシフトしてきた。さらに強めの直線向かい風が吹いていたことで差し馬にとっては苦しい状況に。時計は33.5-35.2の前傾1.7秒だが、本レースは「内前有利」だったと見る。
1着馬ラブカンプーは押してハナに立ち、そのまま完封勝利。母父マイネルラヴの夏馬らしい良化っぷりを見せて、2年5カ月振りの勝利を手にした。2018年スプリンターズS2着の実績馬だけにフロック視は危険だが、前走は展開利に加えて、51キロの軽ハンデ。馬体重440キロ前後の標準型の牝馬だけに56キロへの大幅な斤量増がポイントだろう。
6着馬ノーワンは出遅れて離れた最後方から。上がり3Fはメンバー中最速の末脚を使ったが、展開的にもかなり厳しい競馬であった。元々スタートが遅い馬だけに新潟芝1000mのペースについていけるかは疑問だ。
前走一変の6歳馬
参考レースからの穴注目馬がいずれも内枠に入り、ライオンボスの連覇に追い風が吹く。ただ、同馬も普段より軽めの調整で絶対視はできない。それならば、前走好時計のアユツリオヤジに注目する。初芝の前走では福島芝1200m(稍重~不良に限る)の歴代2位の好時計を計時したうえ、1200mの準OPでは滅多に見ることができない0.8秒差の圧勝。重賞でも即通用するだけのパフォーマンスは見せている。その他、快速馬ゴールドクイーンにも注目。
◎アユツリオヤジ
○ゴールドクイーン
▲ライオンボス
※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。
ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどから目の前のサラブレッドの本質を追求することが趣味。
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