川田騎手が猛追もルメール騎手がリーディングを死守!手に汗を握る勝利数の推移を振り返る【2回福島・4回阪神・2回函館開催終了時の騎手リーディング】
三木俊幸
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川田騎手が猛追も、ルメール騎手が意地を見せる
気がつけば7月も後半に差し掛かり、2回福島、4回阪神、2回函館開催が終了した。今回は3週間で合計の開催日は6日間だったが、リーディングトップ5に順位変動は起こったのだろうか、各競馬場別のリーディングとともに振り返っていく。
まずは2020年の全体リーディングを見ていこう。宝塚記念が終了した6月28日終了時点では、ルメール騎手が2位の川田騎手に7勝差をつけてトップを快走していた。本格的な夏競馬に突入して、ルメール騎手は函館を拠点に、川田騎手は阪神を拠点にそれぞれ騎乗した。
7月19日終了時点での結果は、ルメール騎手が9勝を加えて104勝、川田騎手は14勝を加算して102勝とその差はわずか2勝差にまで縮まった。ルメール騎手は開催初日が0勝、2日目が1勝と勝ち星が伸びずに終わった中、川田騎手は初日に3勝、2日目3勝と絶好調。その後も3日目1勝、4日目4勝と勢いは衰えることなく、猛追を見せて開催最終週へと挑んだ。
迎えた7月18日、ルメール騎手100勝、川田騎手99勝と1勝差でスタート。まずは函館3Rでルメール騎手が101勝目を挙げ、その差を2勝に広げたものの、阪神4Rで川田騎手もすぐさま勝利。さらに阪神8Rでも勝ち星を積み重ね、ともに101勝と並んで最終日を迎えることとなった。
阪神2R、川田騎手は果敢に逃げるレースで見事にマイネルジェロディを勝利に導き、単独首位へと躍り出るが、その後騎乗した3レースでは2着、9着、7着に終わり、102勝で開催6日間を終了した。川田騎手の猛追を受けたルメール騎手だったが、闘志にさらに火がついたのか、最終日は函館4R、6R、8Rで合計3勝を挙げる活躍。年間の勝利数を104勝まで伸ばし、リーディングトップの座をキープした。
ルメール騎手は例年、札幌開催で年間100勝を達成することが多いが、今年は7月12日の函館11Rで早々と達成。また川田騎手も2019年より1か月以上早く、自己最速となる7月18日に年間100勝を挙げている。両者ともハイペースで勝ち星を挙げているので、暮れにどこまで勝利数を伸ばしているのか、楽しみだ。
3位は2着の回数差で武豊騎手が死守
上位2人とはかなり差がついているものの、もう一つの注目点でもある3位争い。前開催が終わった段階で3位の武豊騎手が60勝、4位の松山騎手が59勝となっていた。今開催に入り、初日に函館で2勝、2日目に福島で1勝を挙げた武豊騎手に対し、松山騎手は初日に1勝、2日目は0勝に終わり、3位争いは武豊騎手優勢で何事もなく進んでいくかに思われた。
しかし両騎手ともに、阪神で騎乗することとなった3日目と4日目、武豊騎手は良血の2歳馬ヨーホーレイクで新馬戦を勝利したものの、1勝止まり。対する松山騎手は3日目に2勝、4日目に2勝と合計4勝を挙げる活躍で両者とも勝利数で並んだまま、最終週を迎えることとなる。最終週は武豊騎手が函館、松山騎手は阪神での騎乗となったが、ともに5日目は0勝、6日目はそれぞれ1勝ずつに終わり、勝利数は65勝で並んだまま今開催が終了したが、2着の回数差が53回と上回っていた武豊騎手が3位を死守する形となった。
また、5位の福永騎手も7勝を加算し、合計62勝とじわじわと接近。大混戦となりそうな3位争いではあるが、松山騎手は8月1日〜9日まで騎乗停止となっており、今週から始まる6日間の開催期間では、最初の2日間のみの騎乗となる。順位変動の可能性も十分考えられるので、1位の争いとともに3位争いからもますます目が離せなくなってきた。
競馬学校20期生が活躍
ここからは各競馬場別のリーディングについて、振り返っておこう。2回福島開催で最多の8勝を挙げたのは、福島県出身の田辺騎手。最終週を迎える前は、5勝で戸崎騎手と並んでいたが、最終日に3勝の固め打ちで2年ぶり2度目となる夏の福島リーディングを獲得した。
その他では2年目の若手、菅原明騎手が5勝と躍進。さらにベテラン内田騎手は2勝止まりだったが、ラジオNIKKEI賞と七夕賞の2重賞を制しており、存在感を見せつけた。
4回阪神開催は、14勝をマークした川田騎手がリーディングを獲得。人気馬に乗っていることもあるが、14勝中11勝が逃げ・先行馬、積極的な騎乗が目についた。次いで8勝という成績を残したのは北村友騎手。8勝中6勝が芝のレースで、上手くすくってくるレースぶりが光った。また馬券的にも単勝回収率264%、複勝回収率144%と美味しい配当をもたらしてくれた。
最後に2回函館開催。序盤は特に存在感が薄かったように感じたが、最終日に3勝を挙げるなど、しっかりと帳尻を合わせてきたルメール騎手がトップ。2位は6勝で横山武騎手がランクインした。横山武騎手は1回函館開催で最多の8勝をマークしており、合計14勝で2020年の函館開催を通じてのリーディング獲得となった。
以下、5勝で藤岡佑騎手、吉田隼騎手、丹内騎手が上位に名を連ねた。吉田隼騎手は、先日の函館記念で15番人気のアドマイヤジャスタを勝利に導いたのに加え、7月11日には3歳未勝利戦では14番人気のノワールフレグラン、7月12日には函館道新スポーツ杯で7番人気のウィズに騎乗して勝利するなど、単勝回収率は568%と驚異的な数字を叩き出した。
地元函館出身の丹内騎手は、2回函館開催で最も多い54回の騎乗依頼を受け、函館2歳Sではリンゴアメを勝利に導いた。2016年に函館記念を制しているので、函館開催で未勝利の重賞は函館スプリントSを残すのみとなった。
実はこの3人は、いずれも2004年デビューの同期。同じく同期の川田騎手も含め、中堅どころという位置付けの競馬学校20期生が存在感を発揮した開催だったと言うことができるだろう。
新たに今週から始まる3週間の開催は、2回新潟と1回札幌の2場のみ。東京オリンピックが行われる予定だった日程と重なることや暑さ対策という理由から、関西ブロックではレースが行われない特殊な開催となる。
それだけに、関西圏を主戦場とする騎手たちが新潟と札幌のどちらを拠点に置くのかによって、リーディング争いの顔触れも変わってくる。いずれにせよ、各場ともハイレベルの戦いが繰り広げられると考えられるので、熱い戦いから目が離せない。
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