【函館記念】開催最終週も馬場状態は良好!本命は「小回り巧者」「上がり34秒〜35秒の決着に強い」「配当妙味」の3つの要素が揃った馬とは?

三木俊幸

2020年函館記念馬場分布図ⒸSPAIA

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逃げ切りが5レースも、差し馬には警戒が必要

長いようで短い函館の夏は、いよいよ今週の2日間の開催を残すのみとなった。個人的には、今年の夏は函館に取材に行こうと密かに計画していたものの、その願いは叶わず……。開催を楽しみにしていたファンの方々と同様に、楽しみは来年へと持ち越しとなった。

そんな2020年の函館開催のラストを飾るのは、函館記念(GⅢ・芝2000m)。小回り、洋芝、ハンデ戦と荒れる要素が揃っているが、実際に過去10年のレース結果を振り返っても、1番人気馬が馬券に絡んだのはわずか2回のみ。加えて該当馬30頭中、7番人気以下の馬が17頭も馬券に絡んでいる。

馬場傾向の観点から分析・予想を行っていくにあたり、まずは過去10年のレースで好走した馬たちに共通する傾向がないかを調べてみた。

過去10年の函館記念の結果ⒸSPAIA

内訳をみると、2回函館開催の4日目に行われたのが8回、今回と同じ6日目に行われたのは2回となっている。馬場の荒れ具合によっては良馬場でも時計がかかることもあるが、基本的には1分58秒台〜59秒台の決着となることが多い。

上がりタイムは2018年に勝利したエアアンセムが34.7、2着サクラアンプルールが34.6と34秒台の上がりを使っているが、それ以外の年を見ると、基本的には35秒前半〜後半の上がり決着となっている。

勝利した馬の脚質別成績は、逃げ3勝、先行1勝、差し6勝という内訳となっており、差し馬6頭中4頭の4角の通過順位は4番手以内。差し馬とは言えども、前を射程圏に入れるポジションにつけている必要があるということだろう。

ちなみに2回函館6日目に行われたレース結果を見ると、2012年はトランスワープ、2014年はラブイズブーシェがそれぞれ勝利しており、いずれも道中は中団からレースを進めていた。果たして今回はどのような結果となるのだろうか。

ここからは先週末の7月11日(土)と12日(日)に函館競馬場の芝コースで行われた14レースの結果から、馬場傾向について分析していく。

7/11・12 函館芝コースの上がりⒸSPAIA

途中雨がぱらつく時間帯もあったが、全てのレースが良馬場で行われた。函館記念と同じ2000m戦の結果を見ると、土曜日のメインレースで3勝クラスの五稜郭Sは、少頭数のスローペースということもあって2:01.1という決着。

日曜日に行われた3歳未勝利戦が2:02.1ということを踏まえると、例年通り重賞クラスでは1分58秒〜59秒が出る馬場だと言える。Sペースながら、2000m以上のレースでも34秒台後半の上がりがマークされていたので、展開によっては今年の函館記念は2018年のように、速い上がりの決着になることも想定しておきたい。

7/11・12 函館芝コースの通過順位ⒸSPAIA

最後に脚質別の成績。先週からBコースに変わったこともあるが、逃げ切り勝ちが5レースと開催後半に差し掛かっても良好な馬場状態をキープしている。その他のレースでも、9レース中7レースの勝ち馬が4角5番手以内となっており、基本的には先行有利と分析することができる。

ただし2着、3着まで目を向けると、後方一気が決まるレースもチラホラ出てきていることからも、差し馬にも警戒が必要だ。

配当妙味もあるプレシャスブルー

ここからは馬場適性分布図をもとに、出走馬の適性について見ていく。分布図の縦軸は高速馬場に強いスピード型か時計のかかる馬場に強いパワー型かを示す指標、横軸は上がりの速い馬場を得意とする瞬発力タイプか上がりのかかる馬場を得意とする持続力タイプのどちらに分類できるかを表している。

なお、各馬の配置はベストパフォーマンスを発揮できる舞台設定を表したものである。

2020年函館記念馬場分布図ⒸSPAIA

【レイエンダ】
2走前のダービー卿チャレンジTでは、良馬場で上がりのかかる馬場で3着となっているが、それ以外の重賞で好走しているのは、いずれも東京の稍重で瞬発力勝負となったレース。3歳時には2000mで勝利しているが、現状2000mは長いような感もある。買い材料が少なく、人気にもなりそうなので、今回は無印評価とする。

【トーラスジェミニ】
2走前のエプソムCで18番人気ながら3着、前走の巴賞では見事に勝利し、フロックでないことを証明した。小回りで上がりがかかる条件への適性は高いので、1ハロンの距離延長がどうかだが、今回もすんなり逃げることができれば、しぶとく粘るレースをしてくれるだろう。

【カウディーリョ】
4勝中3勝が札幌、小倉というローカルコース。残りの1勝も直線の短い中山コースで、上がりは4勝とも34.1以上かかる条件でのもの。距離も1800m〜2000mがベストで、少し行きたがる面があるので、逃げる競馬を選択する可能性もあるが、脚質に自在性があるのも魅力的だ。

【バイオスパーク】
3走前の飛鳥Sで3勝クラスを勝利した時は、京都の外回り1800mという舞台だったが、34.0と上がりがかかる馬場状態。それ以外の3勝は函館、福島、京都の2000m戦で上がりは35.5(函館・未勝利)、34.7(福島・三春駒特別)、34.4(京都・嵯峨野特別)だった。そうしたことからも、今回の舞台はこの馬に適した舞台設定であり、好位から中団前目でレースを進めることができるのも心強い。

【プレシャスブルー】
前走の新潟大賞典は、先行馬が残る展開となった中で、中団から差してきてメンバー中最速の上がり34.5を使って3着という成績は評価できる。新潟大賞典を除くと、昨夏以降に好走している競馬場は札幌、中山と直線の短いコースで、上がりが34.1以上かかる条件でのもの。差し脚質だが、4角である程度前を射程に入れられる位置でレースができているので、脚質面も含めて馬場適性は高い。また今回はSペースにはならないと予想しており、頭まで突き抜ける可能性まであると考える。人気もなさそうなので、馬券的にも面白い存在だ。

【ドゥオーモ】
9走前の臥牛山特別(1着)、4走前の玄海特別(1着)、3走前の小倉大賞典(2着)と近走で馬券に絡んだ時は、いずれも3コーナーで早めに進出してまくる競馬で結果を残している。それができない時はあっけなく大敗してしまうが、4角5番手以内の馬が馬券圏内に好走しているという傾向から、好走する時は高配当をもたらしてくれるドゥオーモにも注目してみた。

▽函館記念予想▽
◎プレシャスブルー
○カウディーリョ
▲バイオスパーク
△トーラスジェミニ
☆ドゥオーモ

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