【七夕賞】前哨戦はバイアスがハッキリ?レース分析から見える各馬の「潜在能力」

坂上明大

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七夕賞を前哨戦から分析

過去10年で2度の100万馬券が生まれている七夕賞。今回も様々な前哨戦から有力馬が集まり、さらに斤量のハンデキャップが各馬の力関係を惑わしている。とはいえ、各前哨戦から見えることは多い。今回はその中でも有力馬が集まる前哨戦を3レース解説する。

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

内有利のトラックバイアス

【中山金杯】

2020年中山金杯トラックバイアスⒸSPAIA

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第1回中山開催開幕初日だが、年末から使われ続けているため事実上は連続開催。ただ、AコースからCコースに替わり仮柵が約6m外に動いたことで傷んだ内側の馬場がカバーされた。好走馬の直線平均進路は4.8頭目、勝ち馬に限ればラチ沿いのポジションを取った馬ばかり。トラックバイアスは「内有利」とする。

また、3F目(1角)では12.8秒とかなり落ち着いたラップを刻んだが、その後はほぼ11秒台後半のラップを続ける展開で息の長い持続力が求められる展開となったともいえる。

その馬場と展開もあり4角最内~内の馬が上位を独占し、直線進路も全上位馬が5頭分外以内。ウインイクシードやノーブルマーズが展開の利を大きく受けたことは否めない。

反対に6着馬マイネルサーパスは(4角位置:中差、直線進路:8頭分外)、7着馬クレッシェンドラヴは(4角位置:外追、直線進路:11頭分外)とトラックバイアスに反した競馬。ラスト1Fも上位馬より速く、馬場や展開が変われば逆転の余地は十分にあるだろう。

バイアスに乗った上位馬

【福島民報杯】
降雨の影響でかなりタフな馬場での開催。含水率が高い馬場でレースに使われる中で徐々に内目の馬場が痛み、本レース時には「外有利」へと変化した。また、2頭が競り合う展開で前後半1000mの分割ラップは59.9-61.9の前傾2.0秒。先行馬にはかなり厳しく、「差し有利」の展開であったともいえる。

その傾向通り、上位4頭は外目を捲っていった馬ばかり。その中でマイネルサーパスがウインイクシードを逆転したことは中山金杯の解説の通りだろう。

ただ、2着馬ドミナートゥスが次走の鳴尾記念で11着、4着馬レッドローゼスが次走のメトロポリタンSで9着と惨敗している点を考慮するとメンバーレベルにはやや疑問符が付くか。

素質の片鱗を見せる敗戦

【新潟大賞典】
土曜夜の降雨で午前中は外有利のトラックバイアスにあったが、徐々に馬場が乾いて本レース時にはほぼ「内外フラット」の馬場状態に。展開的にも新潟外回りコースらしい中弛みのラップから息の長い末脚が求められる展開。ポジションによる有利不利はそれほど見られなかった。

上位馬の次走成績が散々なだけにレースレベルが高いとは言えないが、その中でも注目するのはブラヴァス。馬群に包まれてやや仕掛けが遅れたが、ジワジワと伸びてラスト1Fはメンバー中最速タイ。さらに、Nureyevの4×4由来のパワーと母ヴィルシーナが持つHaloの3×4・5由来の俊敏さが最大の持ち味で、新潟外回りは得意とは言い難い舞台。内回り中距離戦に替わればさらに高いパフォーマンスを発揮するだろう。

雨予報で道悪適性必須

ただでさえタフな福島芝2000mだが、今週末は雨予報。さらに馬力の要求度が上がることが予想され、この特殊条件ならクレッシェンドラヴの持ち味が最大限に活きそうだ。

◎クレッシェンドラヴ
○ブラヴァス
▲ヒンドゥタイムズ
△マイネルサーパス
☆ジナンボー
☆オセアグレイト
☆リュヌルージュ

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人弱)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどから目の前のサラブレッドの本質を追求することが趣味。

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