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【CBC賞】ラブカンプー復活の要因は「サマーシリーズ」と「51キロ」

2020/07/06 12:07
勝木淳
2020年CBC賞結果インフォグラフィックⒸSPAIA

ⒸSPAIA

そろっていた夏女の好走条件

2020年CBC賞結果インフォグラフィックⒸSPAIA


2011年以来阪神で施行されたCBC賞は13人気ラブカンプーが軽量51キロを利して一気に逃げ切り勝ちを収めた。3歳冬の小倉かささぎ賞以来となる3勝目だった。

内枠から抜群のスタートを決め、迷わずラチ沿いから先手を奪うと、2ハロン目から10秒8-10秒7と前半600mは33秒5、ラブカンプーらしいスピード全開のラップを刻んだ。この週の阪神芝は土曜終日重馬場、日曜はやや重で天候に恵まれ回復傾向にあった。次第にスピードを生かせる馬場になったこともラブカンプーに味方した。

大敗を続けていた逃げ馬へのマークは甘くなり、600~400m11秒1と他馬が動きにくい地点でもペースを落とさなかったことでセーフティリードを作ることができた。2着はラブカンプーの背後を追走していたアンヴァルなので、追いかけなかった組は自然と圏外に置かれてしまった。

とはいえラブカンプーは斤量51キロの13人気。2019年から1年7ヵ月間掲示板すらなく、二桁着順続き。控える競馬を試みるも結果が出ていなかった。この状況で飛ばて逃げられてはマークしようとはならないだろう。だが前走韋駄天Sでは久々の51キロ、ブリンカー着用、久々に流れに乗って0秒6差7着、復調の気配がなかったわけではない。

思えば2018年3歳夏のサマースプリントシリーズで51~53キロという軽量とスピードを生かして2、3、2着、そしてGⅠスプリンターズS2着、生粋の夏女だった。4歳夏は前年の実績から53~55キロを背負い、すべて二桁着順と辛い夏となってしまった。脚質転換やブリンカー着用という陣営のどうにかもうひと花という執念と待望のハンデ51キロが重なったのがCBC賞だった。

大飛躍の同期に追いつけ

これがうれしい初重賞タイトルとなったのがデビュー2年目の斎藤新騎手。ルーキーイヤーは42勝でJRA賞最多勝利新人騎手賞を受賞したものの2年目は岩田望来(7/5終了時43勝)、団野大成(39勝)、亀田温心(21勝)に次ぐ20勝。決して悪い数字ではなく、1年目の勝ち星を上回れそうなペースではあるが、同期のなかに2年目の大飛躍を遂げた騎手が多いことで遅れをとってしまった。

それを払しょくするかのようなラブカンプーの逃げ切り勝ち、これを弾みに今夏の勝ち星ペースもアップするかもしれない。51キロとラブカンプーの最大の武器を踏まえ、怖れることなくラップを刻んだことが勝利を呼んだ。今後も積極果敢なチャンレジを期待したい。

2着アンヴァルは斎藤新騎手の同期で2年目にもっとも勝ち星を伸ばした岩田望来騎手が騎乗予定だったが、急病のため騎乗をキャンセル。福島のラジオNIKKEI賞と同じく代打騎乗の北村友一騎手による好走だった。宝塚記念で波に乗ったのか北村友一騎手、今週は絶好調。土曜日は6~8Rで3連勝、日曜日は勝ち星こそなかったが、8Rで10人気3着、CBC賞は11人気2着、道中の位置取りに無理がなく、戦略が冴え渡っていた。CBC賞では中団から後ろで競馬することが多いアンヴァルで発馬を決め、逃げ馬の直後へ導いた。

ラブカンプーがセーフティリードを作った競馬ではあの位置以外に勝負になりそうな場所はなかった。2人気4着タイセイアベニールは流れを考えれば外からよく伸びたクチだが、前半の位置取りが堪えてしまった。クリノガウディーも同様で降着処分となった高松宮記念のような積極的な競馬を試みたかったにちがいない。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。