【競馬】牝馬二冠のデアリングタクトは1000%超え!一口馬主の「回収率」に迫る!

高橋楓

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デアリングタクトは一口4.4万円→分配金73.5万円!?

「また、今週も社台の縦縞の勝負服かい」私が競馬を覚えた1990年代はサンデーサイレンス産駒が躍進したのと同時に、社台レースホースの独壇場の時代でもあった。1983年に馬主リーディングを獲得し、2005年にサンデーレーシングにトップを譲るまで22年に渡って王座を守り抜いた。

質の良い馬が多くいればいるほど会員数が増え、それに比例し募集馬が増えていく。よってクラブは個人馬主をはるかに凌ぐ頭数をそろえる事ができた。その結果、2003年以降の馬主リーディングのトップ3は全て一口クラブが独占を続けている。

回収率ランキングベスト5ⒸSPAIA



まずは2017年度産のダービーまでの回収率を見ていく。トップは今年桜花賞・オークスの二冠を達成したデアリングタクトで回収率1670%。同馬は、一口馬主クラブのノルマンディーサラブレッドレーシングの所有馬である。クラブは募集額1760万円、募集口数400口と決め、一口あたり4.4万円で会員に対して出資希望を募る。

デアリングタクトが稼ぎ出した額はJRAのホームページ内の発表では「約2億9389万円」である。この金額を400口で割ると一人当たり「約73.5万円」が分配されるのだ。実に回収率に直すと「1670%」もの数値になる。

それ以外で、すでに回収率が500%を超えているのはレシステンシア(キャロットファーム・800%)、ラウダシオン(シルクレーシング・702%)、ウインマリリン(ウイン・513%)、ウインマイティー(ウイン・503%)などがいる。これから出走回数が増えていく事で各馬どんどん回収率は上がっていく事だろう。

回収率が優秀なクラブはどこだ

2013年産~2017年産まで5世代でのクラブ毎回収率ランキングⒸSPAIA



JRAで走るサラブレッドが1勝できる確率は約35%。募集額を上回る事が出来る馬はもっと少ない。近5世代で一口馬主クラブからは3738頭募集されたが、722頭しか自身の募集額を上回る事ができていない。率に直すと「19.3%」である。

その平均値を上回るクラブが5社あった。1位は「東京ホースレーシング」である。26.3%の募集馬が回収率100%を超えている。ノーザンファームや社台ファームの生産馬の募集以外にも自前で良血の繁殖牝馬を預託し産駒を提供する等、バイヤー系としての成果がでているのだろう。

2位から4位はノーザンファームが主体のクラブが続く。キャロットファーム(24.8%)シルクレーシング(24.4%)サンデーレーシング(23.8%)となっている。繁殖牝馬、育成、施設、スタッフとどの点を見ても高いレベルなだけにさすがとしか言いようがない。

5位はノルマンディーサラブレッドレーシング。デアリングタクトの活躍で一気に目立った感があるが、その他の募集馬でも成績が出ている。募集額を抑え、条件戦を含めて出走回数を増やし賞金を稼ぐコンセプトの結果が表れている。

回収率1000%超えの格安募集馬

近5年 格安一口価格馬の逆襲ⒸSPAIA



募集額1000万円以下の馬でも十分に楽しめるのが一口馬主の魅力のひとつだ。近5年で回収率が1000%を超えている馬が3頭もいる。それは、デスティニーソング(38戦4勝・回収率1215%)ロードアクシス(19戦4勝・回収率1047%)アリンナ(32戦5勝・回収率1028%)である。

デスティニーソングはわずか680万円で募集されたにも関わらず、重賞で掲示板に何度も載り、38戦も走り4勝を挙げ、現時点で稼いだ賞金は8262万円。無事是名馬で走ってくれる馬に巡り合えるのも一口馬主という趣味の魅力である。

最後になるが、今回の回収率の計算は単純に「獲得賞金÷募集金額」としている。実際に配当金が手元に振り込まれるまでには、賞金の80%しか入ってこないし、所得税がかかってくるので、正確な数字は月に一回クラブから届く明細を確認する必要がある。

諸経費を差し引くと「総賞金の半分」を口数で割るくらいの額が入ってくると覚えておけば良いだろう。所得税に関しては年に一回「年次分配」という形で還付の振り込みがある。サラリーマンでいうところの年末調整である。自身にあったクラブを見つけられれば、馬券以外の思わぬ競馬の楽しみ方を見つけられるかもしれない。

《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。「一口馬主」「POG」のコーナーを中心に執筆している。

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