【宝塚記念】グランプリホース復活の時!データに当てはまった本命馬は?
門田光生
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牝馬優勢
2020年6月28日(日)に行われる第61回宝塚記念(GI)。同じファン投票のレースでも、有馬記念と比べてどうしても派手さを欠く印象はぬぐえない。それは梅雨の時期だからか、それとも3歳馬の出走が見込みづらいからなのか。初GI勝ちがこの宝塚記念、というケースが多いのも、逆にいえばメンバーが揃わないことの裏返しなのかもしれない。
そんな宝塚記念だが、昨年は6頭、そして今年は8頭のGI馬が出走。ファン投票1位アーモンドアイがいないのは残念だが、2位ラッキーライラック、3位サートゥルナーリアが参戦。上半期の締めくくりにふさわしい一戦となりそうだ。今回も2010年~2019年までの過去10年のデータを基にして検証していきたい。
残念ながら今年も3歳馬の出走はかなわず、7歳以上の馬も登録すらなかった。というわけで、今回出走するのは4、5、6歳馬。この3世代の成績を比較してみると、5歳馬が11連対でトップ。勝率、連対率ともにほかの世代を圧倒している。2014年から5歳馬が6連勝中という事実からも、5歳馬優勢と考えていいだろう。
ところで、2020年のGIは高松宮記念、大阪杯、安田記念が牝馬のワン・ツーで決まっている。出走比率は牡馬・セン馬の方が圧倒的に高いことを考えると驚異的である。古馬GIだけでなく、NHKマイルCでも牝馬が2、3着。今年はこういう流れなのかもしれない。
このレースにはクロノジェネシス、ラッキーライラックというGI牝馬2頭が参戦するが、宝塚記念も牝馬の方が勝率、連対率とも上となっている。ここ10年で連対した牝馬はブエナビスタ(2回)、デニムアンドルビー、マリアライト、リスグラシューの4頭。このうち、マリアライトを除く3頭は牡馬混合GI(海外含む)で連対経験があった。マリアライトも前の年の有馬記念で4着。牡馬混合GIで好走実績があることが必須で、それはクロノジェネシス、ラッキーライラックともに大阪杯の連対でクリアしている。
前走着順より前走人気
近年の競馬は徒弟制度が崩れて有力馬でも簡単に乗り替わってしまう時代。今回でいえばレーン騎手など腕達者な期間限定騎乗騎手には注意したいが、このレースは継続騎乗が14連対で、勝率、連対率ともに乗り替わった馬を圧倒している。
前走着順に関してはふた桁着順から巻き返している馬がいるなどバラつきが多く参考にしづらいが、前走人気に関しては割とはっきりとした傾向が出ている。前走3番人気以内【8-5-5-43】に対し、4番人気以下だと【1-2-3-57】(前走海外は除く)。前走着順よりも前走人気のほうに注目したい。
内回りのGIということで、この条件が得意なステイゴールド産駒が4勝。抜群の適性を見せている。小柄な馬が多い割に雨馬場もこなす産駒が多く、梅雨の時期も合っているということか。ディープインパクト産駒も3連対。一応の結果は残しているものの、牡馬に限ると【0-1-0-12】となってしまう。
素直に牝馬本命といきたいところだが……
とにかく今年のGIは牝馬が強い。今回出走する2頭の牝馬を比較してみると、「5歳馬」「前走人気」をクリアするラッキーライラックが優勢。
5歳馬が強いことは書いたが、牝馬はよりその傾向が強く、連対したのべ5頭のうち4頭が5歳馬だった。またラッキーライラックの父はステイゴールド産駒のオルフェーヴルで、産駒の特徴も比較的似ている。ということで、牝馬ではラッキーライラックの方を上位に取りたい。
一方、牡馬はどうか。前走で4番人気以下という馬がやたらと多く、この項目で半分以上の馬が減点を食らっている。その「前走人気」、そして5歳馬、継続騎乗をクリアしているのはブラストワンピースのみとなった。前走の大阪杯は馬場が完全にイン有利で、外を回った同馬にはつらい展開。見直す余地は十分にあるだろう。
これまでGIを6回使ってきて、負けた5回は全て前走1着から挑んだ時。逆に唯一勝った2018年の有馬記念は、前走着外から巻き返している。今回はというと、大阪杯着外からの挑戦。最近は着外→1着を繰り返していることから考え合わせても、今回は来る番だ。
人気が予想されるサートゥルナーリアだが、年齢以外は特に問題なし。この馬の3歳以降の成績を見ていると、叩き2走目に崩れていることが分かる。一戦全力投球タイプで、2走目は反動がきていたと考えるなら、前走から間隔があいたのはプラスに働くはず。前走で左回り不安説を一蹴したとはいえ、本来得意とされていた右回りに戻るのも好材料だろう。
あと前走人気をクリアしているのはキセキ。昨年の2着馬だから条件が合うのは間違いないところ。海外帰りの成績が悪くなく、しかも5歳馬であるグローリーヴェイズにも食指が動くが、成績が良くないディープ産駒の牡馬。そして乗り替わりなので今回はパス。減点は多々あるが、ステイゴールド産駒というだけでスティッフェリオも気になるところ。
だが、同産駒のゴールドシップ(2013、2014年)もオルフェーヴルも、宝塚記念を勝った時は天皇賞・春で大敗からの巻き返し。逆にゴールドシップが負けた2015年は天皇賞・春で連対して挑んだものだった。気性的に当てにしづらいステイゴールド産駒らしい結果なのだが、今回のスティッフェリオは天皇賞・春で連対しての参戦。続けての好走はないとみる。逆にアフリカンゴールドはステイゴールド産駒が得意な内回りをほとんど走ったことがなく、しかも5歳馬。人気的にもこちらの方に魅力を感じる。
今年の流れでいえば牝馬を本命にするのが筋だろうが、それ以上に気になるがブラストワンピース。データ上で性別以外全てクリアしている点はもちろん、一昨年の有馬記念の勝ち馬。大一番に強い馬であるなら、復活は宝塚記念、というドラマがあっていい。
◎ブラストワンピース
〇ラッキーライラック
▲クロノジェネシス
△サートゥルナーリア
×キセキ
×アフリカンゴールド
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。宝塚記念といえば、個人的に追いかけていたホットシークレットが3着した2001年。直線でメイショウドトウを差し返した時は、最低でも2着を確信し、掲示板より先に両目に「¥」マークが点灯。しかし、結果は……。勝った時より、悔しかった時の方が圧倒的に記憶に残っていますね。
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