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【ユニコーンS】Hペースでも粘れる傾向 3歳ダート王候補に名乗りをあげる馬は?

2020/06/20 17:00
東大ホースメンクラブ
過去3年の東京ダ1600m枠番別成績

ⒸSPAIA

ハイペースも脚質は不問

6月21日(日)に東京競馬場で行われるユニコーンS(GⅢ・ダ1600m)。3歳ダート路線の登竜門のこのレースに、今年も精鋭16頭が顔をそろえた。ジャパンダートダービーへの重要なステップレースであると同時に、過去5年の勝ち馬がいずれもGⅠまたはJpnⅠを勝利するなど出世レースとしても知られるこの一戦で凱歌をあげるのはどの馬か。また、馬券的に狙いたい穴馬はいるのか。今週もデータを踏まえて検討していこう。

はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

ユニコーンSにおける過去10年の1~3着馬4角順位


過去10年で後傾ラップになったのは13年のみと、前半からペースが流れやすいのが大きな特徴。前走で4角4番手以内につけていた馬が出走馬の約半分を占めるなど先行して結果を残してきた馬が多いためか、自然に前掛かりの展開になりやすいようだ。

直線の長い東京でハイペース戦となると先行勢には厳しいのかと思いきや、案外粘り込みも目立つのがこのレースの特徴。季節柄もあって水分を含んだ脚抜きの良い馬場になりやすいために前がなかなか止まらないのが一つの大きな要因だろう。

全体的に脚質による有利不利の差は小さく、どこからでも馬券に絡めると考えてよいだろう。ここ10年連続で3番人気以内の馬が勝利するなど紛れが少ないということも踏まえ、「人気馬中心」「穴は先行馬」を方針に馬券を組み立てたい。

先行馬は外枠から

過去3年の東京ダ1600m枠番別成績


東京ダ1600mの大きな特徴は、何といっても芝発走である点。一般に芝スタートのコースでは芝を走る距離が長い外枠が有利とみなされるが、多分に漏れずこのコースも大外8枠が勝率・連対率・複勝率ともにトップの数字を残している。基本的に外枠有利と考えてよいだろう。

普段なら距離ロスが嫌われる外枠の先行馬だが、今回ばかりはむしろ強調材料と言えるかもしれない。過去10年のこのレースで4角3番手以内を確保した馬のうち、1~5枠は【1-1-1-21】とほとんど評価に値しない一方、6~8枠では【3-3-1-4】と安定感抜群だ。外枠の先行馬は積極的に買い目に入れるべきだろう。

今年のハナ候補筆頭は前走逃げて圧勝したレッチェバロック。テンの速さから考えてこの馬が主導権を握るのが濃厚だが、前走で逃げていた馬がほかに3頭もおり、先行争いはある程度激しくなることが予想される。例年通りに締まった流れになると見てほぼ間違いないだろう。

ポテンシャルは世代随一

本命はカフェファラオ。前走のヒヤシンスSでは出遅れて馬群の外目を回り、直線で末脚を伸ばして勝利。タガノビューティーが後ろから追い込んでくるなかで直線の半ばまで追い出すのを待つ堂々たる競馬で、着差以上の完勝と言ってよいだろう。潜在能力の高さもうかがわせるレースぶりであり、4か月ぶりの実戦でも順当に走ってきそうだ。

対抗にフルフラット。前走のサンバサウジダービーでの大金星は現地の馬場への適性があってのものという評価が妥当かもしれないが、大外枠から先行して早め先頭というレースぶりで追走力の高さは証明済み。パサパサの良馬場では厳しい面もあるが、多少湿って脚抜きの良い馬場になればチャンスは十分だろう。外目の枠も好材料と捉えたい。

3番手はタガノビューティー。ヒヤシンスSで34秒台の上がりを繰り出して2着に追い込むなど、直線に入ってからの脚は世代屈指のものがある。過去2戦は差し届いていないのも事実であるし軸としては信頼感に乏しい面はあるが、展開的に追い込みが届く見込みは十分あると見て上位に評価したい。

4番手に青竜S覇者のデュードヴァン。当レースはペースが流れるなか中団で脚を溜めてゴール前で抜け出す競馬で、センスの高さをうかがわせる内容だった。コース経験も豊富で渋った馬場の経験もあることから、人気馬のなかでも比較的に信頼度は高そうな印象を受ける。ただし最内枠は歓迎材料とは言い難く、過信はしたくない。

取捨が悩ましいのが2戦連続で逃げて大差勝ちのレッチェバロック。テンの速さがこの馬の持ち味であるが、他馬を前に見る競馬をしたことがないのはやはり懸念材料。自分のペースに持ち込めず崩れる場面も想定する必要があると考えて、押さえ程度の評価にとどめておきたい。相手には先行勢からメイショウベンガルをチョイスした。

▽ユニコーンS予想▽
◎カフェファラオ
○フルフラット
▲タガノビューティー
△デュードヴァン
×メイショウベンガル
×レッチェバロック

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。