【ユニコーンS】「連勝馬は負けるまで買え」はウソ!レッチェバロックの絶対視は危険?東大HCが「連勝馬」を徹底分析
東大ホースメンクラブ
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「連勝馬は負けるまで買え」はウソ!
今週は多くのGⅠウイナーが輩出したダート界の出世レース・ユニコーンSが行われる。上位人気の支持が予想されるカフェファラオ・レッチェバロックはともにデビュー以来2連勝、さらに端午Sでテイエムサウスダン・アイオライトなどを撫で切ったサトノラファールも1勝クラスからの連勝でこのレースに駒を進めてきた。
今週のコラムのテーマは「連勝馬」。「連勝馬は負けるまで買え」という有名な格言の検証に加え、レース条件や連勝数などの観点から連勝馬を分析していく(データは2008年産〜2017年産馬の全レースを使用)。
まずは連勝馬の全体成績を確認する。
連勝馬を全て買った場合の単勝回収率は70%、複勝回収率は71%だった。つまり「連勝馬は負けるまで買え」という格言を鵜呑みにはできない。好走率・回収率ともに強調できるのは芝2000m戦ぐらいで(単勝回収率95%・複勝回収率75%)、特に未勝利→1勝クラスを連勝して2勝クラスに臨む連勝馬は好走率が全クラス中最も低く、単勝回収率も48%しかない。該当する場合はクラスの壁を意識して評価を下げるのも有効な一手だ。
ダート戦全体の回収率は単回53%・複回61%と低調。ユニコーンSが該当する3歳限定ダート戦も例外ではなく、複勝率は3割を下回る。GⅢ(ユニコーンS・レパードS)に限定すると【0-3-0-20】と勝利がなく、複勝率もわずか13%。重賞5勝のグリムもユニコーンSでは大敗(その後レパードSで勝利)、重賞常連のアルクトスも5着に敗れた。該当馬3頭には不安が残るデータといえる。
上記で連対した3頭はいずれも異なる競馬場で連勝を伸ばしているが、連勝馬3頭で該当しないのはレッチェバロックのみだ。さらに牝馬が3歳ダート戦で連勝を伸ばしたのはのちにJBCスプリントを勝ったコーリンベリーただ1頭。レッチェバロックにはかなり厳しい壁が立ちはだかるが、ここをクリアするようなら文句なしにGⅠ級だ。
2勝クラスの壁を超えると連勝は伸びやすい
次に連勝数ごとの成績を分析する。
連勝を伸ばせば伸ばすほど上位クラスでも通用しやすい。先ほど連勝馬に立ちはだかる2勝クラスの壁を指摘したが、3連勝でこの壁を突破した馬は次の3勝クラスでも【16-10-6-24】複勝率57.1%と走っている。また連勝馬全体で前走と同騎手が騎乗する場合は好走率が上昇(4連勝以上では連対率に2割弱の差がある)。
逆に連勝を重ねているのに乗り替わりとなった場合は今ひとつで信頼は禁物だ。また、どの連勝数においても単回・複回はマイナス域で、連勝を伸ばしていてもベタ買いは控えたい。なお5連勝以上を果たした馬はのべ17頭、うち12頭がGⅠ馬だった。
ロベルト系の勢いが芝重賞を席巻
最後に連勝馬別の種牡馬別成績を確認する。
ディープ産駒が有力種牡馬では随一の安定感。オープンクラス以上で馬券妙味があり、特にGⅢでは【15-12-10-32】複勝率53.6%、単回102%・複回88%と強調できる数字。連勝を果たした能力上級条件でも遺憾なく発揮される。
新興種牡馬ではルーラーシップ産駒が一歩リードしており、GⅠこそ【0-1-0-8】(馬券内は2017年阪神JF2着リリーノーブルのみ)だがそれ以外では【9-8-5-13】複勝率62.9%、単回97%・複回107%とディープを凌駕する。「勢いに乗ったルーラーシップは買い」と覚えておきたい。
対照的に若干評価を下げたいのは複勝率が3割を切るダイワメジャー。ともに単勝回収率が50%台前半にとどまるハーツクライ産駒・キングカメハメハ産駒も疑問視から入りたい。
回収率の観点からおすすめしたいのがスクリーンヒーロー・シンボリクリスエスなどのロベルト系。全体でも単勝回収率93%を誇るが、芝では129%にまで上昇してプラス域に。さらに重賞に限ると【14-3-5-32】単回137%、GⅠでは【6-1-2-9】複勝率50.0%、単回196%・複回154%という圧倒的な成績だ。上級条件ほど連勝馬を信頼したい特殊な血統といえる。
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