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【マーメイドS】サマーセントがことごとくハマった!ハービンジャー産駒のツボとは?

2020/06/15 12:08
勝木淳
マーメイドS位置取りインフォグラフィックⒸSPAIA

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ハービンジャー産駒の押さえるべきツボとは

マーメイドS位置取りインフォグラフィックⒸSPAIA


波乱必至の牝馬限定ハンデ重賞マーメイドSだが、今年は比較的上位人気馬が上位入線、イメージほど荒れない結果となった。そんななか勝ったのは7人気の伏兵サマーセント。前走3勝クラス3着からの格上挑戦、軽量50キロを活かした先行策がはまった。

ハービンジャー産駒が得意とする小回り2000m戦だが、昨年までこのレースに7頭出走、すべて着外。18年1人気6着レイホーロマンス(今年は13着)、19年2人気6着モーヴサファイアなど凡走が多かった。ディアドラのような超A級も出ているが、どうにもつかみどころがない。

初年度産駒が登場した14年以降のハービンジャー産駒。阪神芝2000mでデータを調べると、サマーセントは来るべくして来た馬であることがわかる。人気別成績でみると、このコースでハービンジャー産駒は上位人気でこそ買うべき。

1人気【5-1-3-10】、2人気【6-7-5-12】、3人気【5-4-6-6】で4人気以内は勝率20%以上。一方、6、7人気までは勝ち馬が出ているものの8人気以下はさっぱりである。前出の人気2頭以外の5頭はすべてふた桁人気馬で、ここで狙うには無理があった。

では裏切った2頭とサマーセントはどこか違うのか。枠番別成績にある。1~4枠【3-5-11-58】勝率3.8%、5~8枠【17-14-13-51】勝率17.9%と圧倒的に外枠の好走率が高い。

18年レイホーロマンスは3枠5番、19年モーヴサファイアは6枠11番だった。いや、6枠11番は外枠である。今年のレイホーロマンスは8枠16番だった。7枠13番のサマーセントと似たようなものだ。その最後のワンピースが脚質別成績だった。

ハービンジャー産駒の小回り2000mでのイメージというと、3、4角で外から一気に進出するいわゆるマクリを想像しがちであり、実際に19年モーヴサファイアも18、20年レイホーロマンスも中団かそれより後ろから進出する競馬をしていた。

だが、ハービンジャー産駒のこのコースでの脚質別成績では、先行【12-7-8-26】勝率22.6%、複勝率50.9%、勝ち馬はいないが、逃げは【0-3-6-5】複勝率64.3%、前に行くハービンジャー産駒が結果を出す舞台なのである。

ディアドラのイメージが強いが、マクリは阪神2000m【0-1-1-3】に対して京都2000m【2-2-1-4】、京都で決まる戦法なのである。8人気以内、外枠、先行という3条件が初めてそろったのがサマーセントだったのだ。

明暗を分けた人気のハービンジャー産駒エアジーン

レースは藤田菜七子騎手のナルハヤがハナに行き、向正面で12秒7-12秒5としっかり息を入れながら、1000m通過1分0秒8は後方の馬が動きにくい理想的な流れとなった。自身も4着と健闘したが、サマーセントにとっては願ってもない展開だったといえる。

極端なハイペースや馬場状態だと大波乱もあるが、平均よりやや遅い流れであれば、ハンデを背負った人気馬もある程度は上位にくる。2着センテリュオは脚質的に攻められない弱点がありながらも、この日も5勝と冴え渡っていた福永祐一騎手がインを立ち回り、ロスを最小限に抑え、好走できた。

惜しかったのはリュヌルージュだろう。逃げるナルハヤの背後を狙ったものの、スタンド前で外から先行態勢をとったレッドアネモス、サマーセントらの動きに合わせて一歩下がってしまい、一列後ろの位置取りとなった。中山牝馬Sのような強気な先行策でサマーセントの位置を奪えればと悔やまれる。内枠がかえってアダとなってしまっただろうか。

ハービンジャー産駒で1人気エアジーンはインを回った組が上位を占める競馬で5着は止むなしではないか。道中は後方、勝負所で外を回す競馬では5着が精一杯。枠順も含めハービンジャーの好走パターンにハマらなった。加えてサマーセント同様に3勝クラスの格下馬ながら2キロ重い52キロ、人気も含め少々荷が重かった印象で、自己条件で見直したい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。