「ロードカナロア産駒×非サンデー系」を狙え!函館競馬場の芝を東大HCが徹底分析

東大ホースメンクラブ

2020年函館競馬場データインフォグラフィックⒸSPAIA

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洋芝適性とは

初夏の訪れとともに今週から1回函館開催がスタートする。函館の芝コースといえば一般的に使用されている野芝ではなく、寒さの厳しい北海道の特殊な地理条件の下でも生育できる洋芝が用いられていることが特徴だ。

レース予想ではよく「洋芝適性」という概念が持ち出されているが、果たしてこの「洋芝適性」なるものは何なのだろうか。過去5年の函館開催のデータを分析し、真の「洋芝適性」を持つ馬をピックアップしていく(使用するデータは2015年6月20日〜2019年7月21日)。

カナロアは母父サンデー系「以外」

まずは基本の種牡馬別成績をチェックする。以下の表に好走率・回収率ともに強調できる種牡馬を挙げた。

過去5年の函館開催・種牡馬別成績ⒸSPAIA

ずらりと欧州のパワー系種牡馬が並ぶ中、堂々の1位はロードカナロア。本馬は現役時代稍重でのレースが一度あるきりと本格的な道悪は経験していないものの、ミスタープロスペクター系らしくタフな函館で活躍している。

ロードカナロアを買いたいのは母父がサンデー系以外の場合で、該当馬は【10-8-3-24】複勝率46.7%、単勝回収率101%・複勝回収率93%と信頼度・馬券妙味が高まる。スピードよりはパワーを補強する血統を重視したい。

ルーラーシップは不良馬場のAJCCで完勝するなどタフ馬場適性は折り紙付き。複勝回収率は103%とプラスだ。特に適性差が出やすい下級条件が買いで、1勝クラス以下かつ6番人気以内では【9-8-8-18】複勝率58.1%、単勝回収率130%・複勝率118%と圧倒的だ。

さらにオペラハウス産駒のメイショウサムソンに加え、重視したいのはワークフォース。凱旋門賞を制した父の産駒は単勝回収率は驚異の218%。人気薄でも押さえておきたい。マル外全体でも単勝回収率は184%もある。

函館の好走歴がモノを言う

次に函館で好走歴がある馬とない馬ではどの程度好走率に差があるのか調べた。

過去5年の函館開催・函館芝での連対経験有無別成績ⒸSPAIA

ご覧の通り、函館での連対経験のある馬は着実に走ってくる。回収率も経験あり馬:単回78%・複回74%、経験なし馬:単回69%・複回74%とわずかながらリードしており、函館で走った馬は買わない理由がない。

該当馬は7番人気以内まで広げても複勝率4割をキープしている。函館スプリントでは経験あり馬が穴をあけるケースが多く、近年では2018年10番人気2着だったヒルノデイバロー、2017年7番人気3着のエポワスが高配当を演出した。

距離別で妙味があるのは1800mで、該当馬は【26-16-20-100】複勝率38.3%まで上昇、単勝回収率は101%だ。これは洋芝経験に加え小回りコースを1周する形態があいまって好走する馬が限られてくるという理由があるのだろう。

また経験あり馬において、前述した相性の良い種牡馬であるロードカナロア産駒は複勝率53.3%、ルーラーシップ産駒に至っては複勝率60.0%と抜群の成績を残している。

函館以外でもわかる「洋芝適性」

最後に隠れた「洋芝適性」として、東京・中京という直線の長い芝コースで稍重以下のレースを走り、連対したことのある馬の函館芝成績を確認する。

過去5年の函館開催 道悪の東京・中京芝で連対経験がある馬の成績ⒸSPAIA

実は、該当馬全体で単回140%・複回92%という見事なまでの成績を残している。2場は本来瞬発力勝負となりやすい舞台だが、道悪において持続力勝負にシフトチェンジし、函館で問われるような能力が武器になりやすい。若干成績の落ちる新潟との違いは高低差の形態が理由だろう。

該当馬は3番人気以内までなら並の1番人気に匹敵する信頼度があり、函館の芝が渋ればさらに好走可能性が高まる。さらに1800m戦では単勝回収率251%という抜きんでた数字をマーク。回りが違うこの2コースでの実績は、函館を走ったことのない馬の「洋芝適性」を考えるヒントとして頭に入れておきたいデータだ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。

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