【エプソムC】「内有利も雨が降れば外が伸びる馬場」狙うは瞬発力と道悪適性を兼ね備えた上がり馬

三木俊幸

エプソムカップ分布図ⒸSPAIA

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今週末も雨の影響を受ける可能性あり

春の連続GⅠ開催も一区切りとなり、今週から本格的に夏競馬へ突入。そうした中で6月14日(日)に東京競馬場で行われるのは、エプソムC(GⅢ・芝1800m)。サマーシリーズや秋に向けて飛躍したい馬たちが揃った一戦について、馬場傾向と出走馬の馬場適性の観点から分析していく。

まずは、いつものように先週末に行われたレース結果から、馬場傾向について見ていこう。

6/6・7 東京芝コースの上がりⒸSPAIA

6月6日(土)と7日(日)に東京競馬場で行われた芝のレースは合計11レース。土曜日は良馬場での開催となり、1400mで争われた2勝クラスの由比ヶ浜特別は1:20.1で決着。開催前半のように驚くほど速い決着ではなかったが、ほとんどのレースで上がり33秒台がマークされていた。

しかしレース終了後から翌朝にかけて、46.5mmの雨が降った東京競馬場の芝コースは重馬場まで悪化したが、午前中のうちに稍重に回復。序盤のレースでは下級条件ということもあり、上がりが34秒〜35秒台のレースが多かったが、GⅠ安田記念は1:31.6、勝利したグランアレグリアは上がり33.7を使っており、最終的には良馬場に近いところまで回復していた。

6/6・7 東京芝コースの通過順位ⒸSPAIA

勝ち馬の脚質を見てみると、先行4勝、差し7勝と差し馬が優勢だったが、2着と3着の脚質は逃げ6頭、先行6頭、差し9頭、追込1頭となっており、逃げ・先行馬の活躍も目立った。Cコースに変わって2週が経過したが、先々週と同様に「脚質による差はなく、地力が問われる馬場」だと言えるだろう。

6/6・7 東京芝コースの直線で通ったコースⒸSPAIA

続いて馬券圏内に絡んだ馬たちが直線で内から何頭目のコースを走っていたのかについても振り返っておく。

最も多い6頭が馬券に絡んでいたのは、最内(2着2回、3着4回)、内から3頭目(4勝、2着1回、3着1回)、内から4頭目(1勝、2着2回、3着3回)。引き続き内が伸びる傾向にあることが見てとれる。

その一方でもう一つの傾向として、良馬場だった土曜日は5レース中4レースが1〜3着まで内から4頭目以内での決着だったのに対し、稍重でのレースとなった日曜日は土曜日よりも外目を通った馬が台頭。中でも内から6頭目を通った馬が4回(2勝、2着2回)多く馬券に絡んでいた。

天気予報では、今週は週の後半から土曜日にかけて連日傘マークがついており、雨量が多ければ雨の影響を受ける馬場になることも想定される。そうしたことからも「雨が降れば、外が伸びる傾向にある」ということは頭に入れておきたいところだ。

レイエンダは凡走の可能性もあり

ここからは馬場適性分布図をもとに、エプソムCに出走する注目馬の適性について詳しく見ていこう。分布図の縦軸はスピード型かパワー型かを示す指標、横軸は瞬発力勝負と持続力勝負のどちらに適性が高いかを示している。

エプソムカップ分布図ⒸSPAIA

【レイエンダ】
昨年のエプソムCは2番手を追走して上がり32.7で勝利。その後の富士Sでも上がり33.0を使って2着となっているが、いずれも稍重でのレース。良馬場の東京新聞杯では伸びを欠き8着に敗れているということもあるので、東京コースでは「少し湿った馬場」「Sペース」「上がりの速い決着」という条件が揃わないと凡走する可能性もある。

【サトノアーサー】
4走前の東京新聞杯では一瞬見せ場を作ったが、馬券に絡んだ上位3頭はいずれも上がり33秒台の決め手が求められる結果となり、それほど瞬発力のないサトノアーサーは4着に終わった。またいずれも道悪でのレースとなった近3走は、1番人気に推されたものの、重い馬場が堪えたのか上がり35秒台の決着で惜敗。こうした結果を見ると、上がり34秒前半〜半ばの決着となる馬場が最も適した条件だと考える。程よく馬場が湿り、適した条件になれば好走が期待できるが、レイエンダ同様に注文が多いタイプだ。

【アイスストーム】
東京1800mは2戦2勝と好相性の舞台。前走のメイSでは1:44.3で勝利しており、高速決着に強いタイプと言える。加えて昨年5月の調布特別では上がり32.5、前走は上がり33.3を使っており、瞬発力勝負にも強いので、雨はマイナス材料。それだけにレース当日の馬場状態が気がかりだ。

【ソーグリッタリング】
昨年のエプソムCで3着となった時には上がり32.8を使っており、速い上がりにも対応することができる。しかし過去のレースぶりからは、上がり33秒後半〜34秒前半の最も合っていると考えるので、前走のメイSよりも条件は良いだろう。相手なりに堅実に走るタイプでもあるので、今回も好走を期待したい。

【ピースワンパラディ】
キャリア8戦全てで3着以内を外しておらず、安定感抜群。32秒台の末脚を披露したこともあるように瞬発力に優れたタイプだが、稍重で1勝、3着1回、不良で1勝、2着2回と道悪を全く苦にしないどころか、むしろ得意としている。今回も馬場が渋れば、あっさりと重賞初制覇となっても不思議ではない。

【アンドラステ】
前走のパールSで3勝クラスを勝ち上がったばかりの4歳馬で、キャリア6戦中3着以下はなし、4勝中3勝が道悪とピースワンパラディと似たようなキャラクターの持ち主。相手強化で今回が試金石の一戦となるが、先行力があり、ある程度速い上がりも使えるので穴馬として取り上げる。

【エプソムC予想】
◎ピースワンパラディ
○ソーグリッタリング
▲レイエンダ
△アイスストーム
×サトノアーサー
☆アンドラステ

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