【マーメイドS】時計は安定だが配当は波乱傾向 今年も荒れるか!?選ばれし4頭とは?

門田光生

2020年マーメイドSインフォグラフィック

ⒸSPAIA

いよいよ梅雨入りだが……

長かった上半期のGIシリーズも一段落。あとは宝塚記念を残すのみだ。そろそろ各地で梅雨入りする時期でもあり、週末の天気はいつも以上にチェックが必要だろう。

昨年も書いた気がするが、マーメイドSといえば12番立ての最低人気トーホウシャインが突っ込み、2着に10番人気のピースオブラヴが逃げ残った2008年。雨馬場で行われたこともあり強烈な印象が残っている。

しかし、このマーメイドSは大波乱の2008年の翌年からずっと良馬場で行われているのだ。時計も1分59秒~2分00秒台できっちり収まっている。持ち時計を参考にするなら、このあたりが基準となってくるだろう。

ただし、時計が安定しているからといって人気通りに収まるわけではなく、むしろ波乱の傾向にある。愛知杯にしろ、このマーメイドSにしろ、ハンデ戦の牝馬限定重賞はひと筋縄ではいかないが、こういう時にこそデータが生きてくるのかも。今回も2010年から2019年までの過去10回を中心に検証してみる。

パールSは逆張りで

マーメイドS出走馬の年齢

マーメイドS出走馬の所属


まずはいつも通り年齢から。勝ち馬が出ているのは4~6歳馬。5歳馬からは勝ち馬が6頭、2着馬も6頭出ており、勝率、連対率とも世代トップとなっている。4歳、6歳の連対率も悪くないが、3歳馬と7歳馬からは1頭も連対馬が出ていない。

東西別で見ると、美浦所属馬はのべ42頭が出走して一度も勝っていない。栗東所属馬に比べて半分以下の出走頭数とはいえ、未勝利というのはやはり気になるところ。

マーメイドS出走馬の前走クラス


続いては前走条件。さすがに1勝クラスを走っていた馬から連対馬は出ていないが、2勝クラスから4連対、3勝クラスからは5頭の勝ち馬と2頭の2着馬が出ている。オープンの5連対、重賞の4連対をしのぐ数字だ。

その3勝クラスを詳しく見ていくと、勝ち馬の5頭全てがパールS組ということが分かった。しかも、ここ6年で何と5頭のパールS組が勝っている。最も勢いのある前哨戦といえるだろう。ただ、パールSでコンマ6秒以上負けている馬は馬券に絡んでいない。

というわけで、今年もパールS組で好走した馬を狙えば一件落着なのだが、そうは問屋が卸さない。ここ10年、パールSは全て京都で行われているのだが、今年はなぜか新潟で行われている。とはいえ、条件は同じ3勝クラスの牝馬限定戦。そこで、過去にパールSが京都以外で行われていないか調べてみると、2009年以前は中京競馬場で行われていた。

中京競馬場で行われていた当時のパールSとマーメイドSとの関係性を調べてみたところ、【0-1-0-9】という京都開催の時とは真逆の数字が出たではないか。京都開催のパールS以外は信用できないのなら、今年はパールS組の過大評価は避けた方がいいかもしれない。

マーメイドS出走馬のハンデ


マーメイドSはハンデ戦で、これが荒れる要素の一つと考えられる。54キロのハンデを課せられた馬【3-3-5-36】に対して、53キロ以下は【7-7-5-66】。分母も大きいが、ハンデが軽い馬の方が勝率も連対率も上。実績はハンデ差で十分補えているということになる。

マーメイドS出走馬の馬体重


最後に馬体重について。当日に479キロ以下で出走した馬【8-8-10-70】に対して、480キロ以上あった馬は【2-2-0-44】と苦戦の傾向。500キロ以上だと【1-0-0-15】とさらに連対率が落ちる。これに関してはっきりした理由はよく分からないが、迷ったら479キロ以下の馬を選択したい。

条件好転、リュヌルージュ

今年もパールSからの参戦馬は数頭いるが、上記で触れたように新潟開催なので今回に限っては軽視。パールS組以外の3勝クラス経由の馬も成績が悪く、これも同時に減点対象。

年齢はほとんどが実績を残している4、5歳馬。連対率で5>4>6歳とするが、そこまでの差はなく決定打とはならない。ただし、連対馬のいない7歳馬は評価を大きく下げたい。また、ここ10年で0勝の美浦所属馬も割引が必要となる。

あとはハンデと体重。ともに軽い方がよく、ハンデは53キロ以下、体重は480キロ未満の馬が優勢。これら全てで減点がないのはリュヌルージュだけ。データ上で今回の本命はこの馬でいいだろう。前走は案外だったが、その前走より斤量が1キロ軽くなり、しかも全3勝を挙げている2000m。条件好転は間違いなしだ。

相手が難解。1項目だけ減点という馬が何頭かいるが、今回はパールS組を切る、というのがテーマの一つ。そこを経由しない馬で、かつ減点が少ない馬を選択する。

まずオスカールビー。500キロを超える体重がマイナス材料だが、それ以外はクリア。2勝クラスの御室特別を勝っての参戦になるが、御室特別からマーメイドSに挑んだ馬は【0-2-0-3】で、御室特別1着馬に限ると【0-2-0-0】と確率が跳ね上がる。

ここ6年でパールS組が5勝ということは書いたが、今回はパールS組が来ない前提で予想を組み立てているので、参考になるのはパールS組以外が上位を占めた2017年となる。この年の勝ち馬マキシマムドパリは、大阪城Sで13着からの巻き返しだった。

今回、偶然にもサトノワルキューレが大阪城Sで13着。両馬とも重賞勝ち馬という共通点がある。さらに角居調教師はここ10年でマーメイドSを2勝している唯一のトレーナー。54キロのハンデが減点材料だが、それを補えるだけの好材料が揃っている。

人気が予想されるセンテリュオも減点はハンデだけ。ディープインパクト産駒はこのレースで3勝を挙げており、これも外せないところ。

今回は何だか来そうなデータが目白押しの4頭BOXで。

◎リュヌルージュ
〇オスカールビー
▲サトノワルキューレ
△センテリュオ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
安田記念は前回出遅れたグランアレグリアが勝ち、今回出遅れたアーモンドアイは2着。改めてスタートの大事さを知った今日この頃であります。

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