【マーメイドS】見えにくいレースを見える化してみた 4つの好走パターンとは?
勝木淳
ⒸSPAIA
ハンデ53キロに注目
過去10年の勝ち馬は3、2、1、7、1、8、6、3、10、7人気。春シーズンの末期、夏シーズンのはじまりという端境期にあるマーメイドSは評価が結果に直結しない難しいレースである。いわゆる見えづらいレースである。
過去10年の人気順の傾向を調べると、1人気【2-1-1-6】勝率20%、複勝率40%なので1人気が不振というわけではないが、7人気【2-3-0-5】勝率20%、複勝率50%、10人気【1-2-2-5】勝率10%、複勝率50%、13人気の複勝率22.2%と下位人気までまんべんなく馬券に絡んでおり、正直いうと馬券を取りづらい、絞りづらいレースである。
ややこしさを生んでいる要因のひとつがハンデ戦、つまり斤量にあるのではなかろうか。
まず斤量をレンジで区切った成績をみると、別定重量の基準となる55キロを含む53.5~55キロは【2-2-4-23】、10年で3着4回、複勝率25.8%は悪くはないが、3着が多いのは気になるところだ。
それなりにハンデを背負った実績組が差して届かず、もしくはゴール前で交わされて3着というシーンが多いことが想像できる。そんな実績組に先着するのが【5-3-4-32】の51.5~53キロで、勝率11.4%、複勝率27.3%とトップの数字を占めている。もう少し詳しくみていこう。
51キロ【2-2-0-16】も注目すべき数字ではあるが、やはり53キロ【5-3-3-17】勝率17.9%、複勝率39.3%に目がいく。基準となる55キロより2キロ軽い、オープン馬ではあるものの重賞では足りないのではという評価を受けた馬こそが狙いである。
3勝クラス惜敗馬、オープン敗退組
軸馬選びはまずはハンデ53キロから検討してみよう。
クラス別成績に53キロ組優位がはっきりあらわれている。前走3勝クラス【5-2-3-45】は頭数が多く絞りにくいが、好走馬が多い。また前走オープンは【3-2-1-12】勝率16.7%、複勝率33.3%と高確率。これらを掘り下げると、
1着【1-1-2-6】に対して2着【1-0-0-5】、3着【2-0-0-3】、4着【1-1-0-7】と敗退組が互角に機能している点がこのレースの難解さ。3勝クラスの格上挑戦がハンデを利して成功するレースである。
対してオープン組は掲示板を外した6~9着【1-1-1-2】が好成績。3着、5着なども走っており、オープン好走馬よりオープン惜敗以下の馬を上に評価しておくのもマーメイドSを予想する上でコツになるだろう。
前走1800m出走馬
別の角度からデータを検証しよう。
距離短縮は【0-1-1-9】と機能せず、同距離【2-2-0-26】や距離延長【8-7-9-79】に注目すべきだろう。とくに距離延長組は10年で8勝2着7回3着9回と馬券圏内を独占状態である点は見逃せない。
距離延長組の好走馬は1800mが大半を占めている。【8-6-4-51】なので距離延長組のなかでも連対圏内に多く分布。より勝ち切る可能性が近いのは1800m組である。
最後に競馬場別成績をみる。
京都【6-5-3-45】がやたらに目立つ。前走京都組を探せと言いたいところだが、これは注意が必要だ。というのも京都組の好走馬はパールS【5-1-3-17】組が占めている。6勝中5勝がパールSであることは忘れずにいたい。
今年はコロナ禍の影響から3勝クラスは第3場に移行されており、パールSは新潟競馬場で施行されているので、前走京都組が機能しない可能性がある。そして新潟施行のパールS組が機能するかどうかは慎重に判断したいところだ。
パールSを除くと、東京【3-2-4-30】が好成績である。いずれにしても阪神芝2000mとは舞台設定が異なる競馬場である点には注意したい。
●ハンデ53キロ以下
●前走3勝クラス、もしくはオープン特別組
●前走1800m戦出走
●前走京都、もしくはパールS組、または東京出走馬
これである程度はレースの結果が見えてくるのではないだろうか。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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