【安田記念】「内から5頭目が最も伸びる馬場」「脚質の有利不利は無し」 今年は上位勢での決着が濃厚!

三木俊幸

2020年安田記念分布図ⒸSPAIA

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驚くほど速いタイムの決着は無し

GⅠ8勝目を狙うアーモンドアイが中2週で参戦、昨年の春秋マイル王インディチャンプや暮れの香港マイルを制したアドマイヤマーズなど、今年の安田記念(GⅠ・芝1600m)は超豪華メンバーが揃った。今回も東京競馬場の馬場傾向と出走各馬の馬場適性の観点から分析していく。

先週末、5月30日(土)と31日(日)に東京競馬場の芝コースでは11レースが行われた。Cコースに変わって、どのような傾向が見られたのだろうか。

5/30・31 東京芝コースの上がりⒸSPAIA



先々週は3歳1勝クラス(1600m)で1:31.7というタイムがマークされるなど、かなりの高速馬場だったが、先週は3レースが行われた1600m戦で最も速い決着となった葉山特別(2勝クラス)でも1:33.3。依然として良好な馬場状態ではあるものの、驚くほどのタイムが出ることはなかった。

上がりタイムは、2400m以上のレースが4レースあったということもあるが、勝ち馬が33秒台の上がりを使ったレースは11レース中4レースのみ。こちらも東京コースにしては地味な印象を受けた。

5/30・31 東京芝コースの通過順位ⒸSPAIA



Cコースになり、再び先行馬有利の傾向になるかと思っていたが、11レース中7レースが差し決着。その内4頭は4角10番手以下を追走しており、後方からレースを進めても差し届く馬場だった。しかし2着、3着の約半数にあたる12頭が逃げ・先行馬でもあるので、「極端な脚質の有利不利は無い」と言えるだろう。

 5/30・31 東京芝コースの直線で通ったコースⒸSPAIA



先週のコラムでは、Cコースに変わって内から5頭分が伸びる馬場になると予想。果たしてその通りになったのか振り返ってみよう。

最多の8頭が馬券に絡んでいたのは、内から2頭目(2着4回、3着4回)。しかし、勝利数では内から5頭目の5勝(2着1回、3着1回)が最も多く、ついで最内が3勝(3着2回)と続いていた。

こうしたことからも、基本的には想定していたように「内から5頭分が伸びる馬場」だったと言えるが、その一方で内から6頭目を通って勝利したナスノシンフォニとセントレオナードのように、力が抜けている馬であれば、多少外を通っても差し切れる馬場状態でもある。

GⅠ8勝目の可能性は高い

ここからは馬場適性分布図をもとに、注目馬6頭の適性について詳しく見ていく。なお分布図の縦軸はスピード型かパワー型かを示す指標、横軸は瞬発力勝負と持続力勝負のどちらに適性があるかを示している。

2020年安田記念分布図ⒸSPAIA



【アーモンドアイ】
前走のヴィクトリアマイルでは好スタートを切って4番手追走。軽く気合いをつけただけで、直線ではほとんど持ったままでの圧勝だった。今回も同じ舞台、さらにヴィクトリアマイル時より差しが届く馬場なので、万が一スタートで後手を踏んだとしても歴代最多のGⅠ8勝目を挙げる可能性は高いだろう。

【インディチャンプ】
昨年の春秋マイル王者。前走のマイラーズCは格の違いを見せつけるレースぶりだった。好位で脚を溜め、上がり33秒台前半の末脚が使えて、高速馬場への適性も証明済み。こちらも特にマイナス材料は見当たらない。

【グランアレグリア】
昨年暮れの阪神C(1400m)を1:19.4という好タイムで勝利。そして前走の高松宮記念では重馬場で能力を発揮できなかった馬が多かった中、4コーナー12番手から驚異の上がり33.1で追い込んでの2着。高速馬場に強いタイプかと思っていただけに意外な好走であった。

能力の高さと高速馬場への適性は認めるが、距離を短縮してさらに切れ味を増しているので、ベストは1400mだと見ている。ラスト1ハロンで脚が鈍って惜しくも馬券圏内に届かず……ということも想定できるので、今回は無印評価とする。

【ダノンキングリー】
前走の大阪杯では逃げるレースとなり、結果的に目標にされてしまった形だ。今回は普通に好位につけるレースになると予想する。東京コースでは共同通信杯で上がり32.9、毎日王冠では33.4と速い上がりを使って結果を残しており、適性は高い。

【ダノンプレミアム】
昨年の天皇賞・秋(2000m)では1:56.7という速いタイムでアーモンドアイの2着となっているが、今回はマイル戦。他の有力馬と比べると、どうしても一瞬の切れ味で劣ってしまうので、早めに動ける展開にならないと厳しい。今回は少し評価を下げたい。

【ノームコア】
前走はアーモンドアイには離された3着だったが、東京マイル戦が最も合っていると改めて感じるレースぶりだった。相手はさらに強くなるが、1:30.5のコースレコードホルダー。東京のマイル戦では3戦全てで上がり33.2と堅実速い上がりを使って馬券圏内に好走しているので、今回も楽しみだ。

【安田記念予想】
◎アーモンドアイ
○ノームコア
▲インディチャンプ
△ダノンキングリー
×ダノンプレミアム

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