【日本ダービー】無敗の2冠馬の誕生なるか 世代の頂点を掴む馬は?

東大ホースメンクラブ

皐月賞組の前走4角位置別成績ⒸSPAIA

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「新ダービーポジション」の到来?

5月31日(日)に東京競馬場で行われる日本ダービー(GⅠ・芝2400m)。世代の頂点を決める一生に一度の晴れ舞台に、今年も精鋭18頭が顔をそろえた。皐月賞で3着以下を離すマッチレースを演じたコントレイルとサリオスの2頭が人気の中心と目されるなか、栄光のゴールを先頭で駆け抜けるのはどの馬か。今週もデータを踏まえて検討していこう。

はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

ダービー・過去10年 1~3着馬の4角順位/平均タイムⒸSPAIA

先週のオークスの記事では2017年から前が比較的に残りやすい傾向があるということをお伝えしたが、ともに4角4番手の好位から粘った「ウイン」の2頭が人気薄で馬券になった。追い込みを決めた勝ち馬の強さが際立つと同時に、昨今の府中における位置取りの重要性を物語る結果と言えるだろう。

注意したいのは、ダービーでも同じような傾向が表れているということだ。2017年は歴史的なスローペースで参考外かもしれないが、昨年は13番人気のロジャーバローズが2番手から粘り込んで波乱を演出しており、やはり前有利と考えて問題はないだろう。この状況を以って「新ダービーポジション」と呼ぶのはやや過言だろうが、Cコース替わりということも踏まえて先行勢には細心の注意を払いたい。

ローテの概況としては皐月賞組が【8-7-5-66】と当然のように中心であり、続いて京都新聞杯組が【2-1-1-22】、青葉賞組が【0-2-3-20】と続く。特に皐月賞組はこれだけ出走数が多いなかでも複勝率23.3%でトップをキープしており、今年も取捨を考える必要がある。

皐月賞組の買い方は?

2020皐月賞の上がり3Fと着順ⒸSPAIA

皐月賞組の取捨で重視したいのは、何といっても上がりタイム。過去10年で見れば皐月賞で上がり3Fが全体5位以内だった馬は【7-7-4-22】で単回収率160%、複回収率103%とベタ買いでもプラスの数字。今年は前日に降った雨の影響でやや時計がかかる馬場状態だったが、きっちり末脚を使った馬は評価を上げたいところだ。

前走皐月賞組の位置取り成績ⒸSPAIA


さらに、道中の位置取りについても詳しく見てみよう。注目すべきは過去10年の前走皐月賞組のうち4角で10番手以下に控えた馬が全8勝中6勝を占めている点である。このことは上がりの脚が重要であるという上記の分析とも符合しており、皐月賞で後方に構えた馬は頭で狙える、と理解してよいだろう。

なお、ここに含まれるのは必ずしも皐月賞で結果を残せた馬ばかりではない。例として近年のダービー馬であるレイデオロやワグネリアンは、皐月賞では馬券圏内を逃しながらダービー本番で結果を残している。皐月賞では後方待機から前に届かず、ダービーでは位置を取る競馬で戴冠というのが、近年の好走パターンのようだ。

なお、今年の皐月賞の1~5着馬は、みな4角9番手以内の位置を取っていたという点は強調しておきたい。これらに人気が集中するのであれば、後方待機から着外に敗れた馬の変わり身に期待するのも一手だろう。

無敗の2冠へ

断然の一番人気が予想されるが、やはりコントレイルには抗えない。皐月賞は直線だけ見ればマッチレースだったが、馬場の悪いところを避けつつ距離ロスを最小限に抑えたサリオスを、コーナー半ばから大外をマクって競り落とす強い内容。やはり着差以上の完勝と言ってよい。もともと瞬発力を活かす競馬で頭角を現してきたこともあり、府中替わりもプラス材料。内目の運びやすい枠に入ったこともあり、優位は揺るがないと考える。

2番手にはダーリントンホールを推したい。皐月賞ではスタートで後手を踏んだうえに、4角でも馬群の外目を回すなど立ち回りでロスが目立ったが、最後までジワジワ脚を伸ばして6着。共同通信杯制覇の経験もあるし、コース替わりでさらに上の着順も見込めると思われる。位置取り次第で十分に好走できるはずだ。

3番手にサリオス。皐月賞は直線までほぼ完璧に運んだが、最後に競り落とされ2着。コントレイルとの2強を印象付けたが、逆転を目指すとなると戦法に工夫が必要かもしれない。距離を過剰に不安視する必要はないが、戦績的に短い距離が向いているのは明らかだ。比較的に外目の枠に入ったのもあるし、"2強"が盤石とは決めつけたくない。

4番手にはヴァルコスを推したい。高速決着となった青葉賞では向正面で先団に取り付き、直線でも最後までしぶとく伸びて2着。最後はオーソリティに差されはしたが、潜在能力の高さを感じさせるレースだった。外枠に入ってしまったため展開の助けが必要な面もあるが、時計の優秀さを加味して評価したい。

以上のほかに、京都新聞杯を使った上積みが期待できるディープボンドと、皐月賞3着のガロアクリークあたりはケアしておきたい。好枠をゲットしたワーケア、アルジャンナの2頭も押さえておくことする。

皐月賞で2番人気に推されたサトノフラッグだが、道中の位置取りが良かっただけに5着という結果は追って案外という印象。一戦だけで見限るのは早計かもしれないが依然として人気が予想されているし、馬券的な妙味は薄いと考えて嫌ってみたい。

▽日本ダービー予想▽
◎コントレイル
○ダーリントンホール
▲サリオス
△ヴァルコス
×ディープボンド
×ガロアクリーク
×ワーケア
×アルジャンナ
消サトノフラッグ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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