【平安S】一発大穴の共通点は「前走負け」「着差2秒台」「後方追走」 当日まで覚えておきたいデータ

勝木淳

平安SデータインフォグラフィックⒸSPAIA

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距離短縮組とマイル戦出走馬

かつては冬の1回京都に施行、フェブラリーSのステップレースだったが、東海Sの移設とともに2013年から春の京都に引っ越し、距離も夏の大一番帝王賞を意識して1900mに変更された。

この距離1900m戦はJRAでは京都と中京の2場のみで実施、1800mよりたった100m長いこの距離がじつはかなり厄介な存在となり、馬券的な難易度をあげている。

ここでは2013年以降の7年間のデータをとりあげる。

前走距離別成績(過去7年)ⒸSPAIA



距離という意味で前走距離別成績を調べると、前走1800m組【3-4-3-60】好走馬は複数出ているものの、1800mはいわばダートの主流距離であり出走頭数が多く、確率では勝率4.3%、複勝率14.3%は頼りない。もっと短い1600m組は【1-1-2-5】、出走数は少ないが、出てくるのであれば注意したいデータだ。

ダート1600mといえば、JRAでは東京競馬場のみの特異コース。珍しいコースつながりかどうかは分からないが、前走が東京ダート1600mだった馬は【1-0-1-4】。残りは後述するが船橋ダート1600m【0-1-1-0】交流重賞のクイーンC組だ。

特異距離なら同じ1900m組がいいと思いきや、【0-0-0-5】と全滅。京都ダート1900mのオープンはそもそもレース数が少なく、冬開催までさかのぼらなければならない。それ以来の出走となると、間隔が開きすぎているきらいがある。どだい真冬の1900mオープン特別では、レベル的に問題があるということだろう。

成績がいいのは2000m【1-1-0-2】、2400m【1-1-0-3】の距離短縮組である。出走頭数が少なく1800m組のように必ず出走馬がいるわけではないが、距離短縮組を見かけたらチェックは必須である。

ダート戦も使い詰めより狙いすました組

つぎにレース間隔別の成績を調べる。

出走間隔別成績(過去7年)ⒸSPAIA



さきほど真冬の京都以来では間隔が開きすぎているのではと指摘したが、じつは中9~24週【2-1-1-15】と、2カ月以上間を開けてきた組がもっとも確率が高い。中4~8週も【4-6-4-54】と、間隔を詰めてくる組よりもいい数字が並ぶ。

ダート馬というと使って使ってというイメージがあるが、昨今はダート路線も出走間隔をしっかりとって狙いすましてくる馬が有利ということだろうか。このあたりのデータはダート重賞では軽視されがちだが、見逃せない。では具体的にどんなレースから平安Sにくる馬がいいのだろうか。

前走レース別成績(過去7年)ⒸSPAIA



前走レース別成績で目立つのはダイオライト記念【1-1-0-3】、フェブラリーS【1-0-1-2】、仁川S【1-2-0-1】といったところか。

ダイオライト記念は船橋2400m、仁川Sは阪神ダート2000m、先ほど触れた距離短縮組、かつ3月施行、適度に開いた間隔に該当。フェブラリーSも先述の東京ダート1600m、レース間隔も該当する。

頭数がもっとも多い主要ローテにあたるアンタレスS組は【3-3-3-37】、消しではないが、勝率6.5%、複勝率19.6%はやや頼りない。この組の取捨選択は適性などを考慮して慎重にいきたい。

18年サンライズソア、14年クリノスターオーの共通点

最後に前走着差別成績をみる。

前走着差別成績(過去7年)ⒸSPAIA



勝った場合は2着につけた着差、負けた場合は勝ち馬からの着差を示したものだが、「勝ち」「負け」いずれもタイム差なしだったケースは3着以内がない。

タイム差なしで勝った馬は、ギリギリの勝利だったので連勝できないということで納得だが、タイム差なしで負けた馬が来ていないのには注意したい。なぜなら、前走タイム差なしの2着とは戦歴として立派なもので、当然上位人気に支持されるからだ。辛勝組と惜敗組はどちらも同じ評価でいい。

対して2着に0秒6~0秒9差【1-0-0-1】、1秒~1秒9差【0-1-1-0】と大きな着差をつけた組は信頼してよさそうだ。前走負けた組は0秒1~0秒2【3-1-0-10】が目立つが、もっと注意すべきは大きな着差をつけて勝った馬と同じく大きな着差で負けた組の巻き返しである。

前走2秒0~2秒9負けた組は【2-0-0-5】。当然人気がなく単勝回収値1337、複勝回収値345と破壊力抜群である。

前走2.0~2.9秒敗退馬の前走脚質別成績(過去7年)ⒸSPAIA



2秒0~2秒9差で負けた馬に注目。そのレースでの脚質別成績を調べると、中団【1-0-0-2】後方【1-0-0-1】と逃げ先行ではなく、控えた組から巻き返す馬が出ている。

具体的に言うと、18年サンライズソア7人気1着(前走ブリリアントS2秒3差14着、1角14番手4角9番手)と14年クリノスターオー(前走アンタレスS2秒1差16着、1角9番手、4角16番手)の2頭。いずれも平安Sで前走とは真逆の逃げ、先行で勝利を収めている。

このような脚質の急な転換を事前に予想することは難しいが、穴党は前走後方から競馬、2秒0~2秒9差で負けた馬を見つけたなら、少しは胸躍らせてもいいだろう。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020年平安ステークスデータ

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