ルメール・Mデムーロ・川田騎手他 騎手が選んだお手馬は走るのか? 東大HCが「騎乗馬選択」を徹底分析

東大ホースメンクラブ

ルメール騎手データインフォグラフィックⒸSPAIA

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リーディング上位を占める6人の騎手について分析

今週は古馬の牝馬マイル王を決めるGⅠヴィクトリアマイルが行われる。史上最多タイのJRA・GⅠ7勝がかかっているアーモンドアイに、連覇がかかっているノームコア、昨年の2着から悲願の戴冠を狙うプリモシーン、オークス馬ラヴズオンリーユー、京都金杯から重賞3連勝と勢いに乗るサウンドキアラなどが挑む構図。

出走登録している19頭のうち4頭は、前走でM.デムーロ騎手が騎乗。そして、3頭はルメール騎手が騎乗。ヴィクトリアマイルではそれぞれ、ラヴズオンリーユーとアーモンドアイに騎乗する二人。普段のレースから、複数のお手馬がかち合うことは珍しくない。

今週のコラムテーマは「騎乗馬選択」。レースに複数のお手馬が出走した場合に騎乗した馬(以下「選択馬」)で結果を残せているのか、リーディング上位を占める6人の騎手について分析した(使用するデータは2015年5月16日〜2020年5月10日)。

ルメールは2歳戦、デムーロはGⅠで

まずは今週のヴィクトリアマイルで該当するルメール騎手とM.デムーロ騎手について見てみよう。

ルメール騎手の「選択馬」成績ⒸSPAIA M.デムーロ騎手の「選択馬」成績ⒸSPAIA

ルメール騎手の「選択馬」成績は以上の通り。全体の半数を3着以内に導いているものの、このままベタ買いすれば単勝回収率63%・複勝回収率75%と馬券妙味はない。コンスタントに結果が出ているGⅢに限定すると、単勝回収率は112%でプラス域に突入。さらに2番人気以内に限定すると、【8-3-0-2】連対率84.6%、単勝回収率164%まで向上する。

今年のシンザン記念でも新馬で騎乗した1番人気のルーツドールではなく、2番人気のサンクチュエールに騎乗し、見事勝利。GⅢでの選択は買い材料になる。そのほか2歳戦も好調で、こちらも2番人気以内に限定すると2017年の朝日杯FS(タワーオブロンドン2番人気3着)から現時点で15戦連続馬券圏内を続けている。

今年は6月6日から2歳戦がスタート。レースの検討材料が少ない2歳戦において、ルメール騎手のチョイスには注目しておきたい。ちなみにGⅠでの「選択馬」成績は【5-3-5-15】複勝率46.4%と全体成績より劣っている。

M.デムーロ騎手を買いたいのは3〜5番人気馬に騎乗するケース。4割超えの複勝率をキープし、単勝回収率128%も出色の数字。芝に限定すれば162%となり、複勝回収率も117%と結果を出している。また定評のあるGⅠでの勝負強さは数字に現れていて、1番人気では【4-0-4-0】のパーフェクト、2〜5番人気でも【4-5-1-10】複勝率50.0%、回収率は単複ともに130%を上回っている。

馬齢別に見ると3歳以上限定戦で7割近い複勝率を叩き出しており、同条件のGⅠでは前走10着以内に限ると【5-4-3-2】複勝率85.7%、単複回収率200%以上ともう買うしかない。

福永祐一騎手の「選択」は無条件で買い!

次はリーディング上位を占める栗東のベテラン二人、武豊騎手と福永祐一騎手だ。

武豊騎手の「選択馬」成績ⒸSPAIA 福永祐一騎手の「選択馬」成績ⒸSPAIA

武豊騎手も2歳戦での「選択馬」が、全体より1割程度好走率が高い。5番人気以内に限ると単勝回収率は200%に迫っており、該当馬は複系より単系馬券で買いたい。短距離戦での成績が良いのも特徴。

対してGⅠでは【2-0-1-12】複勝率20.0%と意外にも芳しくない。3度の馬券圏内はいずれもキタサンブラックなので、過去5年では結果が出ていないのが実情。キタサンブラックを除いても5番人気以内は9頭と人気を集めやすいので、該当馬は嫌うのも一策。

福永祐一騎手は「選択馬」をベタ買いするだけでも単勝回収率が139%と、この条件が使えるジョッキーだ。特に2番人気以内に限ると信頼度は高まり、1勝クラス〜オープンに限定すると【15-3-4-5】複勝率81.5%。

先日読売マイラーズCをインディチャンプで制したように、GⅡでの信頼度も高い。また、古馬に騎乗する際の馬券妙味が素晴らしく、該当馬は【19-6-6-35】複勝率47.0%、単勝回収率は188%をマーク。成長力のジャッジに気を配っておきたい。

戸崎騎手が選ぶ1番人気は走る

最後に川田将雅騎手、戸崎圭太騎手の成績を以下に挙げる。

川田将雅騎手の「選択馬」成績ⒸSPAIA 戸崎圭太騎手の「選択馬」成績ⒸSPAIA

川田騎手も「選択馬」が順当に走っており、単勝回収率102%は福永騎手には劣るものの買える条件といっていい。

前走連対馬できっちり走っており、同クラス2着組はもちろん、昇級戦でも複勝率6割をキープ。「選択馬」はクラスの壁をことさらに意識する必要はない。距離別では2000mの成績がよく、2018年以降に限定すると複勝率は76.9%まで跳ね上がる。中距離での選択に注視したい。

落馬負傷からの復帰が目前に迫っている戸崎騎手は、何よりも1番人気の好走率が特筆に値する。100回以上の騎乗回数がありながら複勝率75.5%という高水準で、ここまで紹介した6人のジョッキーの中でもぶっちぎりの1位だ。

例に漏れず2歳戦の成績もよく、単勝回収率142%・複勝回収率145%は素晴らしいの一言。戸崎騎手がターフに戻ってくる日が待ち遠しい。

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