【ヴィクトリアマイル】近6年で1番人気の勝利はなし なぜ波乱の決着を迎えるのか

SPAIA編集部

2019年ヴィクトリアマイルを制したノームコア

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ヴィクトリアマイルは波乱のGⅠレース

5月17日(日)に東京競馬場で行われるのはヴィクトリアマイル(GⅠ 芝1600m)である。

第1回が行なわれたのは2006年と、まだ歴史の浅いGⅠレース。当時、GⅠ増設の動きが主流となる中で、春の古馬牝馬ナンバーワン決定戦との位置づけで新設された。記念すべき第1回の勝ち馬ダンスインザムードは、桜花賞以来2年ぶりのGⅠ勝利を飾り、牡馬相手に苦戦を強いられてきたマイラー色の強い牝馬にとっての救済レースとの印象を強めた。

ただ、初期の勝ち馬にはウオッカ、ブエナビスタ、アパパネというビッグネームが名を連ねるも、近6年の優勝馬の人気順を見ると、⑤⑧⑥⑦⑤⑪番人気となれば、これは波乱のGⅠレースと呼ぶほかはない。過去の歴史を振り返ることで、その傾向と対策を掘り下げてみたい。

狙うはリピーター?

まず目につくのが、リピーターの好走例が多いこと。2013、2014年連覇のヴィルシーナ、2015、2016年連覇のストレイトガールのみではなく、2012年優勝のホエールキャプチャは翌2013年は2着と好走。2018年優勝のジュールポレールも、前2017年には3着と馬券に絡んでいたのだから、この例に当てはまるといっていい。

改めて列記してみると、いずれも名牝と呼べる実力馬たちばかりである。ただ、その全てが好走した翌年にも関わらず、人気を落とした穴馬として激走している点は見逃せない。一般的には消長が激しいとされる牝馬。実績馬といえども一年間、凡走を続けると、「この馬は終わった…」などと周囲の評価が暴落してしまうのは常であるが、近走は不振の馬でも実力を見直す必要がある。

続いて顕著に現れる傾向としては4歳馬優勢の事実。これがファンの間で周知されており、リピーターの好走が波乱として扱われることとなるわけだが、近年でも2019年はワンツーであり、2017年には1~3着の馬券圏内を人気薄の4歳馬が独占した。ヴィクトリアマイル新設の頃には、古馬路線の充実をうたっていた番組編成も、近年は淘汰を早める方向へと大きく舵を切っている。

まして繁殖馬としての重要な任務を担う牝馬ともなれば、早期の引退を求める声は高まり、この先は若い馬であるほど優勢の傾向がますます強まると思われる。

ただし、リピーター対4歳馬の図式として、たやすく推理できるほど単純なレースでもなさそうだ。事実として挙げたいのは近3年の結果。ジュールポレールこそ続けて好走したが、同じ稍重馬場であった点は共通しているものの、レース展開は全く異質なものであった。

逃げ馬が極端にペースを落としこんだ2017年は瞬発力勝負となり、よどみなく流れた2018年は道悪が大きく影響する消耗戦となった。それによって一瞬の脚を武器とする2017年の1、2着のアドマイヤリード、デンコウアンジュは翌年8、12着と、リピーターとしての役割を果たせなかった。

波乱傾向の原因はレベルの低下?

このように、いったんはデータによってクリアされたかに見えたが、展開ひとつで覆されてしまうレースなのである。それを最も表したのが、3連単2070万の超高額配当が飛び出した2015年の結果だったのかもしれない。

最低人気で果敢に逃げたミナレットはよどみないラップを刻んではいたものの、GⅠレースとしてはそれほど厳しいペースではなかった。それにも関わらず、誰も追いかけない大逃げの形でリードを広げると、絶好位の2番手に収まっていた12番人気ケイアイエレガントともども3、2着と馬券に絡む好走で波乱を演出した。

なぜこういう展開が生じたかといえば、これはレースレベルの低下が招いたものとしか考えられない。近年、初期に活躍した牝馬は早期の引退や経歴に傷をつけない競走生活を歩むことを促される傾向にある。そのため、初期に活躍した牝馬にチャンスを与えるべく作られたこのヴィクトリアマイルにその実力馬たちが出走してこなくなっており、これにより全体のレベルが下がることは必然といえる。

また、騎乗するジョッキーの多くが、いずれもチャンスありと色気を持って構えた騎乗をした場合、当週からBコースに変わるため、速い時計が出て、前有利な展開になるなど紛れが生じやすくなると推測される。

牡馬が相手のGⅠでも勝ってしまうアーモンドアイ級の女傑が出走してくれば、展開不問で信頼すべきだろうが、実力差はわずかのメンバー構成となる近年の傾向からいえば、一度目線を下げたところで馬券を考慮することをオススメしたい。

昨年の1~3着を阪神牝馬Sに出走した馬が占めたことで、同じマイルの距離に改められた2016年以降の前哨戦はより関連性を強めたデータがクローズアップされるだろうが、今年の阪神牝馬Sは道中で一気にペースが落としこまれた特殊な展開だった。

その着順にはとらわれず、府中に置き換えればどういう展開となるかを洞察する力が求められるレースとなるだろう。 

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