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【京都新聞杯】ダービー出走は絶望的 アドマイヤビルゴの挫折

2020/05/11 14:06
勝木淳
2020年京都新聞杯位置取りインフォグラフィックⒸSPAIA

ⒸSPAIA

強ければ勝てるという競馬

最終的に単勝1.4倍と、圧倒的な支持を受けたアドマイヤビルゴが4着で敗れた。

スタート直後は外目を走らせ、隊列が落ち着く1角で内に寄せるなど、藤岡康太騎手は自信と裏腹に慎重な運びを見せた。馬はその間も折り合いを欠くような走りで、前を行く3頭が後ろを引き離す展開に。ところが、その先行勢をアドマイヤビルゴは追いかけようとしてしまったようだ。

先行勢がある程度離れた向正面で、馬は追いかけることを止めて納得。終始外を走っていたわけではなく、外に出したのは4角手前の勝負所の下り坂だった。そこから一気に追い上げながら、直線で伸びを欠いた。

若葉Sも新馬戦も、武豊騎手はゴール前で交わせばいいという競馬をしていた。それは最後まで脚を使い切るような競馬だった。直線半ばまではちょっと届かないのでは?と思わせたところから差し切っていたのでスケール感が強調されたわけだが、京都新聞杯は一転した強気な競馬で押し切りを目指した。

これは強ければ勝てる競馬だった。負けた以上、そこまで圧倒的な能力はまだつききっていない。しかしながらこの4着は痛かった。クラシックは賞金額をいかに詰めるかというトーナメント戦であり、アドマイヤビルゴの日本ダービー出走はほぼ閉ざされたといっていい。

後半800mにみる昨年との差

京都新聞杯といえば、昨年のダービー馬ロジャーバローズを思い出す。レースレベル次第では、青葉賞より日本ダービーとの方が相性はいい。ではそのレベルどうだったのか。

1000m通過58秒3は昨年の60秒0を大きく上回るハイペース。昨年は、後半800m11秒8-11秒7-11秒5-12秒1と600m加速を続けるロングスパート。今年の後半800mは、12秒0-12秒5-11秒7-12秒0と一旦緩んで加速するという緩急型。前半が速かったため、一旦待って仕掛けた組に流れが向いた。

皐月賞10着のディープボンドが巻き返したことで、皐月賞組の強さが強調される結果になり、京都新聞杯組のインパクトは薄れてしまった。アドマイヤビルゴが加速した地点が、残り400mの11秒7。後ろからきたディープボンドもマンオブスピリットも、アドマイヤビルゴというターゲットがいての好走でいかささ物足りない。アドマイヤビルゴと同位置にいてインから抜けてきたファルコニアも同様。

今年の日本ダービーは京都新聞杯の結果を経て絞られてきた印象だ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

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