SPAIA競馬
トップ>ニュース>【ヴィクトリアマイル】アーモンドアイの取捨は?そのカギを握る3つのデータとは

【ヴィクトリアマイル】アーモンドアイの取捨は?そのカギを握る3つのデータとは

2020/05/10 19:00
勝木淳
2020年ヴィクトリアマイルインフォグラフィック

ⒸSPAIA

切れ味より持続力重視

2020年ヴィクトリアマイルインフォグラフィック

今年の焦点はズバリ「アーモンドアイの取捨」だろう。この点についてはのちほど様々なデータで分析するとして、まずはヴィクトリアマイルのレース傾向を調べる。

19年のノームコアの時計1.30.5が目立つが、そのほかに31秒台が3回、10年で4回が1分32秒以下、もっとも遅いのは稍重馬場だった17年の1.33.9で、32秒台が5回と高速決着が特徴。マイル戦らしく後半が速い1秒以上速い後傾ラップだったのは2回、最低でもミドルペース、前半が1秒以上速い前傾ラップも2回(0秒9速い年が2回)とGⅠらしいタイトな流れになりやすい。

上がり600mが最速だった馬が勝ったのはこの10年で1回のみ、切れ味よりスピードの持続力が最大の武器となる。上がり最速こそが武器のアーモンドアイにとって昨年の安田記念以来となるスピード勝負となる。

アーモンドアイをめぐるデータ

アーモンドアイはドバイ遠征中止によって矛先をこのレースに変更、カラ輸送のダメージなども取りざたされるだろうが、データでは測りようがない。そこでレース間隔別の成績を調べる。

アーモンドアイは有馬記念以来の出走で約5か月ぶり。データでは中9~24週にあたる。その成績は【0-1-0-10】と厳しい。2着の1頭は京都牝馬S以来だったケイアイエレガント(15年)。有馬記念以来となると……。

だがしかし、アーモンドアイといえばシンザン記念→桜花賞、オークス→秋華賞、安田記念→天皇賞(秋)とひたすらレース間隔別成績データを覆してきた、いわばローテーション革命の申し子である。このデータで消しなどとは口が裂けても言えない。

どちらかといえばアーモンドアイの場合はドバイターフ→安田記念、天皇賞(秋)→有馬記念のようにむしろレース間隔を詰めてくるときの方が危険。有馬記念以来の出走は好走のサインともいえよう。

距離延長【2-2-2-49】より距離短縮【4-4-5-55】が分はいいが、確率では同距離組【4-4-3-44】が上。特に阪神牝馬Sがマイルになった16年以降は18年まで3年連続ヴィクトリアマイルV、2019年も11番人気3着クロコスミアとトレンド化している。総じて同距離組の成績が上昇しているというわけだ。

距離短縮組を詳しく調べると、400m短縮の2000m【1-2-1-7】の成績がいい。だがそれ以上の距離短縮は好走例がない。といっても2200m【0-0-0-2】、2400m【0-0-0-1】とたった3頭では信頼性は低い。かつてグラスワンダーが有馬記念から京王杯SCを勝ち、1100mの距離短縮をこなした例もある。

本当に強い馬は舞台を選ばないというところか。やはりアーモンドアイをこのデータで切り捨てるのは早計だ。しかし、昨年の安田記念3着からマイル戦のスピード持続型レースへの適性はしっかり見極めたい。

アーモンドアイに追い風データ、それこそ牝馬限定戦あるある

最後にアーモンドアイ以外で好走する可能性がある馬を探る。 GⅠらしく前走重賞以下からの好走はなく、前走重賞組に絞っていい。そこでもっと掘り下げていく。

牝馬限定重賞だった馬は【6-7-8-103】と先のトレンド(阪神牝馬S優勢)通り好走数は確実に多いので、牝馬限定重賞組は馬券にしっかり組み入れていきたいが、前走が牡馬混合重賞だったのは【4-3-2-31】と頭数は少ないが確率はこちらが上。牝馬限定戦では得てして前走が牡馬相手だった馬が好走することが多く、いわば牝馬限定戦あるあるである。牝馬チャンピオンを決するヴィクトリアマイルも例外ではない。牡馬相手に重賞を戦った組は見逃せない。そう、有馬記念以来のアーモンドアイにとってこれは追い風である。

19年4番人気2着プリモシーン(ダービー卿CT2着)、16年2番人気3着ショウナンパンドラ(産経大阪杯3着)、15年5番人気1着ストレイトガール(高松宮記念13着)14年3番人気2着メイショウマンボ(産経大阪杯7着)などなど。

人気がアーモンドアイに集中するので、ほかは混戦模様。前走が牡馬混合重賞だった組は配当面でもぜひ狙ってみたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『 築地と競馬と』でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。