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【フローラS】インから一閃! 若武者・横山武史のしたたかさ

2020/04/27 12:42
勝木淳
2020年フローラS位置取りインフォグラフィックⒸSPAIA

ⒸSPAIA

父譲りの鮮やかすぎる“決め打ち”

外から伸びるホウオウピースフル、スカイグルーヴ、フアナの外国人騎手3名を相手に、インから抜け出し封じたのは横山武史騎手とウインマリリンだった。

ゴール直後のガッツポーズの型は、父・横山典弘騎手と瓜ふたつ。現役屈指の戦略力から、ノリマジックと評される横山典弘の決め打ちは長く競馬ファンを唸らせてきたが、そのDNAは着実に武史騎手に伝わっている。父を彷彿させる決め打ちだった。

2枠3番から初角まで馬を出していき、積極的に好位を確保するや内にいたセイウンヴィーナスを制し、ポジションを強固に死守。そこから、馬なり自然体の田中勝春騎手とシャンドフルールが作る1000m通過58秒6という、過去10年で最速ペースに忍者のごとく存在自体消すかのような静モード。

直線に向いてラチ沿いにスペースを見つけるや否や、手綱を巧みに操作しつつハミをかけて馬の闘志に火をつけ、迷わず突いて抜け出した。ファイトを促す意味でステッキを入れる際、それを放り投げてしまったが、慌てずにハミをかけることに集中。馬を遊ばせることなく、力を出し切った。

完全なる決め打ち。ペースが思ったより速かろうが、直線で前が開くかどうかという迷いは一切なし。これで負ければ仕方なし、そんな潔さもまた父譲りだ。

例年とは異なった東京の芝

この日の東京は風の影響もあり、東京にしては時計がややかかるような馬場。

昨秋後半と今冬後半の雨が影響していると思われる芝コースは、スローで流れた1800mの石和特別も上がり、600mは34秒3、最速上がり34秒0と33秒台が記録されない重めの馬場だった。しかし、これも父スクリーンヒーロー産駒ウインマリリンに味方した。

開催が進むにつれ、時計が速くなる春の東京。オークスでどうなるかはわらないが、勝ち時計1分58秒7はこの馬場状態にもかかわらず、過去10年で最速。道中が流れる展開になれば、本番で浮上の可能性は十分あるだろう。

惜しくも出走権を逃したフアナは、もったいなかった。絶対不利な8枠からスタートを切り多少強引に馬群に入ってロスを消したまではよかったが、最後の直線でショウナンハレルヤに進路を締められ、スムーズさを欠きタイミングを逸してしまった。2着ホウオウピースフルとの着差はわずか0秒1だけに最後の直線の攻防が悔やまれる。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。

2020年フローラS位置取りインフォグラフィックⒸSPAIA