【マイラーズC】コロナ禍で路線変更も王者はいかなる状況でも負けられぬ

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目標を失いながらもチャンプはそれでもチャンプ
京都開幕週といえば、GⅡマイラーズC。断然注目はコロナ過の影響で香港遠征を取り止め、国内専念になったインディチャンプ。しいて言えば、GⅡ格に見合うような実績馬はほかに不在というメンバー構成だけに、負けられない一戦だった。
しかし、ここ出走は目標でもなんでもなく、香港から安田記念に目標を切り替えたことによって開きすぎる出走間隔を考慮してのものだけに、状態面の不安があった。元々叩いて一変するタイプで、ステップレース負け→本番勝利はこの馬のパターンでもあった。
「もしや、ここは落とするのでは?」という穴党のスケベ心をあざ笑うように、インディチャンプの快勝だった。スタートを決めて好位のイン。直線に向いて、ほかの11頭が目いっぱい追っても馬なりのまま先頭へ立ち、見せムチのみで勝負を決した。見ての通りの完勝だった。
ゴール前400~200m10秒9を馬なりで先頭では敵う馬はいない。しいて言えば、ステップレース敗退→本番勝利という必勝パターンを崩す形になってしまったのがどう出るかだ。だが、ノーステッキで本気を出させていないとなれば、杞憂に終わる可能性は高い。
岩田望来にのぞむこと
半マイル47秒2のスローペースに恵まれた2着ベステンダンクより、3着ヴァンドギャルドに注目したい。
2年目で今年絶好調の岩田望来騎手にとって重賞初制覇のチャンスだったが、スタートで立ち上がって出遅れたのは痛恨だった。スローペースの最後方は絶望的な位置であり、動くに動けない状態に。
直線は馬群に突っ込まず大外を回し、馬の末脚を目いっぱい引き出して3着。動かなかったこと、大外を回したことへの賛否はあるだろうが、気にすることではないし、今はそこに目を向ける時期でもない。
だが、スタートの出遅れだけは課題としてしっかり克服していってもらいたい。競馬ではスタートで遅れて幸いするようなことはない。スタートは最初の一手。攻め手をひとつ失ってしまう出遅れは命取りになりかねない。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。

