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【アンタレスS】原点回帰の戦法でウェスタールンドがV ベストタッチダウンは重賞の壁を感じる結果に

2020/04/20 11:58
勝木淳
2020年アンタレスSインフォグラフィック

ⒸSPAIA

自分の形を崩したベストタッチダウン、形を確立したウェスタールンド

戦前より昇級緒戦の馬には厳しいデータが並んだアンタレスSだったが、1番人気は3連勝中の上がり馬ベストタッチダウン。

いずれも逃げ切りだった同馬にとってオープン緒戦はメイショウワザシにハナを奪われる展開となり、結果的に自分のペースで競馬ができなかったことが敗因となってしまった。番手に1番人気馬がいることで展開に緩みがなく、1000m通過1分1秒1のスキがない流れ。この流れのなか、離れた後方2番手にいたウェスタールンドは他馬が仕掛けても動かずに自分のタイミングをじっと待っていたのがハマった。

4角手前から一気に動き、大外を抜群の手応えで進出。直線に入ると脚色の違いは歴然だった。かつてGⅠ2着がある実績馬は勝ちに行く早めに動くような競馬や中団からの競馬など勝つための試行錯誤を繰り返した末にこの日のようなとにかく自分のタイミングを待つ形に回帰した。

展開が向いたのは事実だが、次位に1秒差をつける上がり3ハロン35秒0は芝レース並みの記録で、こうも鮮やかに末脚が決まったのは展開によるものだけではない。切れ味がこそが最大の武器のウェスタールンドにとって形を崩さずに重賞タイトルを奪取したことに価値がある。やるべき競馬がはっきりした今後はこれまで以上に怖い存在となるのではなかろうか。

2着アナザートゥルースは積極的な競馬でリワードアンヴァルを捕らえ、クリンチャーを封じた。この2~4着の差はないに等しく、流れ次第の面はあるだろうが、3頭とも堅実に上位着順で走れるようになった点は馬券的に頼りになる。

この路線はダートグレード含め選択肢は広く、馬券検討する場面は多い。堅実に走る馬は全国各地の競馬場で検討する際に大いに役に立つものだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「 築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。

2020年アンタレスSインフォグラフィック