【阪神牝馬S】5、6歳馬が上位を独占 4歳牝馬はレベルが低いのか?

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サウンドキアラの長所、流れに左右されない強さ
ヴィクトリアマイルの前哨戦・阪神牝馬Sは2番人気サウンドキアラが勝利。今年に入って重賞3連勝を達成した。一戦必勝であり、早い時期に活躍するタイプが多いディープインパクト産駒としては珍しい晩成タイプにみられる本格化劇だった。
男馬相手の京都金杯では53キロという軽量と有利な内枠を利して流れに乗って好位から抜け出した。続く京都牝馬Sは冬の連続開催最終週、近年稀にみる荒れた状態の重馬場で1400m戦を一旦下げながら差し切った。異なる馬場状態、距離、ペースでの連続好走もすべては舞台は京都。全6勝が京都という京都専用機だったサウンドキアラだけに阪神でGⅡ勝ちはその事実だけで大きい。
今年の4歳牝馬はレベルが低い?
レースは2番枠から終始出たなりのインコース。アマルフィコーストを制したトロワゼトワルがハナに行き、前半800m46秒5と平均ペース。1番人気ダノンファンタジー以下有力どころが外目へ持ち出すなか、サウンドキアラは進路を求めて最低限の動きでスペースを確保、一気に抜け出した。
後半800mは46秒4、精緻なイーブンペースで先行馬もそうは止まらず、流れに乗ったディメンシオンが3着、馬群の外側に持ち出してごちゃついた組はアウトで、それより後ろから大外に回ったスカーレットカラーが上がり最速33秒4で突っ込んできた。流れに乗れた組と流れを無視した組を制したサウンドキアラは正攻法そのものの理想的な競馬だった。
直線では内側より外側に固まるような競馬で外に回った馬たちの多くは進路取りに苦労していた。その意味でサウンドキアラが最低限の動きでスペースをとれた幸運もあった。
結果的には上位は5歳、5歳、6歳でこの先のGⅠで主力となるはずの4歳はビーチサンバ3番人気4着、ダノンファンタジー1番人気5着と人気を下回る敗戦を喫した。昨年の桜花賞に出走した馬は5頭で4、5、7、13、16着だった。世代レベルでいえばJC2着のカレンブーケドールや京都記念を勝ち大阪杯2着のクロノジェネシスもいるので、難しいところだが伸びあぐねている組と順調な組の選別をしなければならない時期に来ているのではないか。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。

