【桜花賞】王道路線チューリップ賞だが、勝ち馬は本番では勝てない?

SPAIA編集部

イメージ画像ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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桜花賞と同じ条件で行われるのがチューリップ賞

桜花賞トライアルの第1弾であるチューリップ賞は、桜花賞と同じ阪神コースにして同じマイルの距離設定。その勝ち馬の多くはここをステップにして桜花賞を制覇してきた。過去10年、チューリップ賞をステップに桜花賞に挑んだ馬の成績は【6-4-5-21】と王道トライアルといっていい。

並んで翌週に行われるフィリーズレビューがGⅡであるのに対して、チューリップ賞はGⅢの格付けとされてきたが、出走馬のレイティングは明らかにこちらの方が上だった。2018年からはGⅡへと格上げされたことで、ようやく均衡が取れてきたのではないだろうか。

桜花賞での取捨を見極めるという意味では、必見の一戦との位置づけで間違いないだろう。

ではなぜそのような傾向が生じるのか、もう少し掘り下げて考えてみたい。

なぜこの路線は桜花賞と相性がいいのか?

まず注目すべき点は、チューリップ賞が桜花賞と全く同じ条件設定である上に、前年の12月に行われる2歳女王決定戦、阪神JFとも同コース、同距離であるということ。2つのGⅠに挟まれた同設定のトライアルであるということが、メンバーのレベルを引き上げる要因となっていることは確かだ。

チューリップ賞で上位人気を占めるのは、阪神JFで好走した馬たちが大半である。そしてチューリップ賞での結果が、桜花賞へと直結する。3つのレースは王道路線として、疑いようもなく連動しているのだ。

もちろん、それぞれのレースの性質には違いがある。2歳として最初のGⅠである阪神JFはキャリアの浅い馬、距離適性や脚質などが定かでない出走馬も多い。そのため、展開は読みづらく、枠順によっては大きな不利を被るリスクもある。だが、そこをセンスと完成度で乗り越えた上位入線馬にとってのチューリップ賞は、桜花賞の前哨戦としてそれほど厳しい流れとはならないため、対策の立てやすい一戦となるのではないだろうか。

だが、チューリップ賞の3着までに桜花賞の優先出走権が与えられるといっても、キャリアの浅い1勝馬が桜花賞への切符を取るには、敷居の高いレースと言わざるを得ない。一昨年、阪神JFの1~3着馬が上位を独占したように、上位の力づけが示された馬ですでにいくつかの枠が押さえられてしまっているからだ。

当然、住み分けが始まり、賞金不足の素質馬たちは別路線へと回ることからも、チューリップ賞は王道の前哨戦として、レベルの高い一戦となるのだろう。

5年連続勝ち馬が桜花賞で勝てていない

結論として、チューリップ賞は阪神JFで上位入線を果たした人気馬の信頼度が高いとする向きに異論はない。ただし、2014年のハープスター以降、5年間に渡って、チューリップ賞の勝ち馬が桜花賞で敗れている事実については、注目しておくべきかもしれない。

シンハライト、ジュエラーの上位2頭の着順が入れ替わっただけの2016年は傾向として変わりのないものだったが、2017年にはかん性の激しくなりつつあったソウルスターリングが勝ち続けることの難しさを見せた。

2018年もラッキーライラックが別路線から現れたアーモンドアイの豪脚に屈している。秋には競馬界の勢力図を塗り替えることとなるスーパーホースの出現が王道路線から出なかったことは、果たして一過性のものであったのか、変化の始まる予兆であったのか。

2019年は、阪神JFの勝ち馬ダノンファンタジーが桜花賞で1番人気に推されるも、切れ負けして結果4着。勝ったのは前哨戦を使わなかったグランアレグリア。阪神JFで倒したクロノジェネシスにまで先着を許した。

今年2020年のチューリップ賞の上位3頭は順位が変わったとはいえ、阪神JF1~3着馬が上位を独占。3着に敗れた阪神JF勝ち馬レシステンシアにとっては、チューリップ賞で負けたことが最高のローテーションになる気がしてならない。また、チューリップ賞1着馬マルターズディオサは桜花賞優勝をもぎ取れるのか?はたまた「チューリップ賞勝ち=桜花賞を勝てない」傾向は今年も続くのか?結果を楽しみに待ちたい。

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