【高松宮記念】マイルで好走している馬が盲点!京大競馬研究会がレースラップから導き出した馬券妙味のある馬とは?
京都大学競馬研究会
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
1600mのGⅠを前傾ラップで好走した馬に注目せよ
3月も終盤でいよいよ春のGⅠ戦線が本格的に始まる。今週も無観客競馬ではあるが、開催されることに感謝をして楽しみたい。
さて高松宮記念の1番人気は前走阪神カップを好時計で5馬身差の圧勝を見せつけたグランアレグリアが濃厚だろう。次点に前哨戦を完勝したダノンスマッシュと予想。しかし、今年は強い馬が集まっており伏兵の台頭は十分にある。最も妙味のある馬をレースラップなどからロジカルに紐解いていきたい。
スプリント戦ということもあって、前半が速い流れに対応できる馬でないと好走は厳しい。裏を返すと長めの距離で好走した馬の中でも前半に速い流れで好走している馬というのはスプリントでも好走する例が見られるのだ。
例えば2016年と2015年で馬券圏内のミッキーアイルに関しては前傾ラップの2016年マイルCSと2014年のNHKマイルカップで好走している。2017年の高松宮記念3着だったレッドファルクスはその後同じ年の安田記念(1600m)を好走。前後半ラップ(33.9-34.4)の前半がかなり速いマイル戦への対応力も見せた。
今年は、1200mGⅠに挑む前に前傾ラップの1600mGⅠを好走した馬が2頭存在する。それはモズアスコット、ノームコアである。該当レースの前後半のラップは、モズアスコットは2018年安田記念(34.2-34.5)と2020年フェブラリーS(34.6-36.5)、ノームコアは2019年ヴィクトリアマイル(33.7-34.4)である。
また、今回はラブカンプー・モズスーパーフレアという速い先行馬2頭がいることでおそらく前半のペースは速くなると予想する。さらに週末の天気は雨予報。これらを踏まえて前傾ラップで上がりがかかる決着強い馬を選ぶこともポイントだ。この点を考慮するとグランアレグリアは時計の速い決着を好む傾向にある為人気も加味すると本命では推しにくい馬だ。
異端な快速馬、更なる挑戦へ
◎モズアスコット
GⅠフェブラリーSを勝利してのまさかの参戦。しかし先述したように前半に速い流れでの好走歴が多く1200mへの短縮は向く。2018年安田記念の前後半のレースラップは34.2-34.5のハイペース。このように前傾ラップのスピード勝負に対応可能な点を考慮すると怖い一頭である。
一方、スローペースでは甘さを見せてきた。例えば2019年マイラーズカップ(6着)のレースラップを見ると、12.6 - 11.4 - 12.0 - 12.5 - 11.8 - 10.9 - 10.3 - 11.1(36.0-32.3)。スローペースの中盤が緩む流れで一瞬のスピードの変化が求められる流れだと凡走傾向にある。激しい流れでタフなレースの方が向いているといえるだろう。ダートでも好走していることからもパワーがあるので重たい馬場も苦にしない。
さらにつけ加えると引き続き左回りというのは好印象。血統面で見ると、例えば戦績が崩れてからは立ち直るのに時間がかかったものの、チューリップ賞まで負けなしだったソウルスターリングのように勢いのあるフランケル産駒というのは好調を持続しやすい。スプリント適性があればGⅠ馬なので間違いなく力は上位のはずだ。
2018年安田記念も連闘で激走し、初ダートで重賞制覇するなどこの馬の適応力は非常に高い。それを可能にしているのは矢作芳人調教師の手腕あってこその芸当だろう。今回もそれを見せてくれると期待しての本命。
○ダノンスマッシュ
能力的にも上位は間違いなしで、時計のかかる決着ならさらにチャンスは大きいだろう。重賞勝ちの前後半のレースラップを見ると2019年シルクロードS(1着)は、(33.3-35.0)で勝ち時計1:08.3。2019年キーンランドC(1着)は、(33.2-36.0)で勝ち時計1:09.2というように1分8秒~9秒台の決着では非常に強い競馬をしている。
去年の高松宮記念(4着)は内有利の馬場で外を回されてしまった。とはいえ1分7秒4という速い決着での4着は健闘したと考える。悲願のGⅠ制覇に期待がかかる。
▲セイウンコウセイ
3年前の覇者、去年の2着馬である。前走シルクロードSは明らかな外差し馬場で前半3F33.9秒と先行馬には圧倒的に不利な展開ながらも2番手で競馬をして最後まで粘っての5着はかなり優秀。とにかく中京コースと時計のかかる馬場が得意で今回も激走してくる可能性は大きい。
△アイラブテーラー
ここまで1度も馬券圏内を外していない馬。2走前京阪杯では直線追いだしが遅れてしまったにもかかわらず、上がり最速で追い込んできて2着は価値がある。時計のかかる馬場は得意で展開も向きそうなので押さえておきたい。
△ノームコア
距離短縮にはなるが2019年ヴィクトリアマイルでは前半600m33.7のハイペースの展開で1着だったことからスプリントのペースでも付いて行けると考える。先行馬が多くペースが速くなり、上がりがかかれば差しも利いてくるので前走のような競馬をすればチャンスありそうだ。
高松宮記念(GⅠ) 予想
◎モズアスコット
○ダノンスマッシュ
▲セイウンコウセイ
△アイラブテーラー
△ノームコア
(文 ケータロー)
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