【ジャパンC】「2400m以上で勝利歴がある秋天好走馬」は複勝率87.5% データで導く穴馬候補3頭

鈴木ユウヤ

ジャパンC2025 データで探す穴馬,ⒸSPAIA

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データで見る「穴候補3頭」

今週日曜は東京競馬場でジャパンカップが行われる。その名の通り日本競馬を代表する最高峰のレースであり、2020年の三冠馬3頭対決や2023年のイクイノックスvsリバティアイランドなど、近年も歴史的ハイレベルな戦いが繰り広げられてきた。

今年は天皇賞(秋)を制したマスカレードボールら日本勢に対し、「欧州最強馬」カランダガンが挑戦状を叩きつける。面白いレースになりそうだ。様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。

本題に入る前に軽くデータ上の前提を。近年のジャパンCはそのレベルの高さゆえに波乱が少なく、過去10年で9番人気以下は【0-0-0-84】。単勝オッズ30倍以上の馬は【0-0-0-97】と馬券絡みがない。「穴を探す」とは言いつつも、現実的には大穴狙いで振り回すより、中穴エリアで妙味のある馬を見つける方針が賢明だろう。


「天皇賞(秋)3着以内馬」は距離実績で見分けろ ジャスティンパレス

まず1頭目はジャスティンパレス。3歳時に菊花賞3着、4歳で天皇賞(春)を制したステイヤータイプだが、今年は中距離でも宝塚記念3着、天皇賞(秋)3着と連続好走してここに臨む。


ジャパンC 前走天皇賞(秋)の着順別成績,ⒸSPAIA


ジャパンCにおける天皇賞(秋)組の取捨はシンプル。前走着順と好走率が素直に連動する。過去10年で「天皇賞(秋)3着以内馬」は【4-1-2-4】複勝率63.6%、同4着以下は【2-2-2-26】同18.8%とハッキリ差がついている。

その天皇賞(秋)で好走した馬については、距離実績の有無でさらに仕分けられる。「芝2400m以上での勝利歴」があれば【4-1-2-1】複勝率87.5%で、唯一着外に敗れたのがサトノクラウン(※2400m以上の勝利実績は香港ヴァーズ1着のみ)。「国内の」2400m以上で勝ったことがある馬はオール3着以内だった。

ここにピッタリ当てはまるのがジャスティンパレス。休み明けをひとつ叩き、400mの距離延長も歓迎。条件は前走より好転する。イクイノックスやドウデュースとしのぎを削ってきた現6歳世代の強豪が、その実力を再び示す。


「前年5着以内馬」のもう一発に要警戒 シンエンペラー

2頭目はシンエンペラー。昨年は凱旋門賞12着からこのレースに出走し、勝ったドウデュースとタイム差なしの2着同着だった。


ジャパンC 前年着順別成績,ⒸSPAIA


先ほどは天皇賞(秋)の着順をヒントにしたが、同様に「前年ジャパンCの着順」も好走率に直結する。同じく過去10年で、前年の5着以内馬は【4-2-1-11】複勝率38.9%、同6着以下は【0-0-0-20】だ。基本的に若い馬が強いレースでもあり、1年前に大敗した馬が劇的に着順を上げて馬券に絡んだ例はない。

前年5着以内馬のうち、5歳以下なら【4-2-1-4】複勝率63.6%、特に関西馬は【4-2-1-1】同87.5%、複回収率147%をマークしている。これに合致するシンエンペラーは要警戒だ。

前走のアイリッシュチャンピオンステークスはまさかの凡走に終わったが、レース後の検査で喘息と肺出血が判明した。参考外の一戦と割り切れる。東京は3戦していずれも3着以内の得意コース。巻き返しに期待だ。


「日本馬×海外騎手」のタッグが高回収率 タスティエーラ

最後はタスティエーラを取り上げる。日本ダービー優勝時の鞍上であり、これで4戦連続騎乗となるダミアン・レーン騎手を引き続き確保してきた。

ジャパンCでは2006年のウィジャボード(3着)を最後に、海外馬の馬券絡みがない。一方で、07年以降もジョッキーに関しては「海外勢」の活躍が続いている。

この期間で海外所属騎手(※便宜上、短期免許時代のルメール、M.デムーロ騎手は除く)の成績は【5-6-5-79】複勝率16.8%だが、日本馬への騎乗に限れば【5-6-5-24】同40.0%、複回収率122%となる。「海外のジョッキーが乗る日本馬」は狙い目だ。


D.レーン騎手の条件別成績,ⒸSPAIA


先に取り上げたジャスティンパレス(C.デムーロ)以外に候補は3頭いるが、騎手で選ぶならやはりD.レーン騎手だろう。JRAGⅠ通算【6-7-3-27】複勝率37.2%で複回収率は100%超。芝2200m以上に限ると【4-4-2-11】同47.6%、複回収率136%の腕達者だ。

タスティエーラの前走は一度かわしたメイショウタバルに差し返されるなど、少し謎の残る負け方ではあった。ただ、レース上がり32.9秒という極限の瞬発力勝負であり、特殊な展開だったのも確か。過度に悲観することもないだろう。もう少し序盤から普通に流れて総合力が問われる競馬になれば再浮上の目もあるはずだ。

《ライタープロフィール》
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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