【川崎記念】南関中距離路線がアツい 東大HCの南関競馬男がミューチャリーを本命に推す理由は?

2020-01-28 17:00:12東大ホースメンクラブ
本命に推されたミューチャリーⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

川崎競馬場の特徴

1月29日(水)に川崎競馬場で行われるのは川崎記念(JpnⅠ・ダ2100m)。今年最初の統一GⅠだ。昨年のJBCクラシックを勝ったチュウワウィザードやマーフィー騎手騎乗のデルマルーヴルなどが人気を集めそうだが、その2頭の評価や、その他で狙いたい穴馬を検討していく。 まずは川崎競馬場の特徴やレース展開を分析していこう。

川崎競馬場はJR川崎駅から無料送迎バスに揺られて約10分の立地。冬季を除いてはスパーキングナイターと題してナイター競馬が行われている。内馬場には駐車場、芝生の広場があり、子どもが遊べる遊具も置かれている。今開催はお休みのようだが、3月以降の本場開催日および土日祝はバーベキューを楽しめる設備もある(要予約)。場内には売店も多く、お酒の供になるような食べ物は充実している。中でも個人的に一つあげるならモツ煮がオススメだ。

コース自体は南関4場の中でもコーナーが一番キツいことが最大の特徴。一周距離が浦和競馬場とほぼ同じにもかかわらず直線が若干長い、つまり扁平なコース形態をしている。基本的には逃げ、外2番手、イン3番手が有利なのだが、先行争いが激化すると目の醒めるような後方一気も決まるし、馬場次第では向正面でのマクりも決まる。決着のパターンはなかなかバリエーションに富んでいる。

川崎記念が行われる2100mは向正面からスタートしてコースを一周半する。外枠は不利だが、最初のコーナーまで距離があるので2000m戦と比較するとそこまで問題にならない。一周目のホームストレッチでは逃げた馬が息を入れたい一方、後手を踏んだ馬はポジションを上げておきたいので、ここでレースが動くことも多い。その動きを含めて昨年の全国リーディングで今回ケイティブレイブに騎乗する森泰斗騎手は川崎の一周半競馬が滅法うまい。

予想をする段階では第一に当日の馬場傾向を重視したい。日によっては道中でラチ沿いを走っていないと人気馬だろうと関係なく飛びまくるような日もあるが、一方で外からひとマクりという競馬で勝てる傾向の日もある。そのため、欲を言えば過去のレースが行われたときの馬場傾向も踏まえて各馬の実際の力を評価できればなお的中が近づくだろう。

早めにレースが動いて差し馬台頭

それではレースの検討に移る。レース展開だが、まず逃げそうなのは地元川崎のヒカリオーソ。ヒカリオーソは溜めて逃げる形の方がいい馬だが、前走で報知オールスターCを勝ったオールブラッシュは気性面から、無理に抑えるよりどこかで先頭に立ってしまいたいタイプ。逃げもしくは前回同様、向正面でハナを奪っていく競馬を考えていそうだ。

2周目の向正面くらいからはケイティブレイブやチュウワウィザードもプレッシャーをかけていくだろうし、デルマルーヴルのマーフィー騎手もダート戦では早め早めという騎乗が目立つ。前が落ち着いて最後の600~800mだけで勝負、というような競馬にはまずならないだろう。勝ち馬はともかく2、3着にはじっくり脚を溜めてバテた馬を拾っていく馬が届くと読む。

南関中距離路線のレベル向上が顕著

昨年末の東京大賞典は2着に大井のノンコノユメが入り、3着には大井生え抜きのモジアナフレイバーが入るなど南関のレベルアップを印象付ける一戦だった。川崎記念と同舞台で行われたトライアル・報知オールスターCだが、今年はかなりの好メンバーが揃った一戦で、勝ち時計は2100m戦になって以降で最速の2.14.7。14秒台は川崎記念でも勝ち負けできるレベルの好時計。

報知オールスターCと川崎記念の時計比較

単純比較で昨年の川崎記念(2.15.0)より速い。しかも、同日他レースの決着時計を比較しても報知オールスターの日の馬場が速かったということもない(たとえば報知AS当日のC2・1600m戦1.45.1、昨年川崎記念当日のC2・1600m戦1.44.9とほぼ同水準)。JBCクラシック3着のセンチュリオンが報知ASで7着に敗れたことからも、今の南関中距離重賞のレベルが交流重賞と遜色ないレベルまで上がっていることが分かる。

そして川崎記念は東京大賞典とフェブラリーSの間の時期で、東海Sと施行時期が被ることもあり毎年中央馬のレベルは低調。ここなら南関所属馬にも十分チャンスがあると見た。

本命はミューチャリー。パイロ産駒らしく気難しい面があり、追ってからエンジンがかかるまでが遅い。しかしながら2歳時の鎌倉記念、昨春の羽田盃でともにラスト1F12.0という地方のダート戦ではまずお目にかかれないような驚愕のタイムを叩き出して圧勝。ポテンシャルはレベルが向上している南関中距離路線でも筆頭格だ。敗れた東京ダービーはヒカリオーソ山崎騎手のスロー逃げにしてやられたように、交流重賞の相手関係で脚を使い切れる競馬になった方が良さそう。

対抗はチュウワウィザード。前走のチャンピオンズCは上位3頭と位置取りの差がそのまま着順に現れたレース。砂質なのか流れなのか、ほとんどの馬が中央のダートと交流重賞どちらが得意・不得意というのが出るが、この馬は交流重賞【3-1-0-0】。レースの中身を含めて中央より交流重賞でのパフォーマンスがいい。大外枠はネックだが、器用な馬なのでソツなく立ち回ってくるだろう。

3番手はヒカリオーソ。東京ダービーは各馬がミューチャリーを強く意識したなか、超スローペースに持ち込んで完璧に出し抜けを食らわせた渾身のレース。純粋な能力比較ではやや見劣る印象がある。前走の報知ASは3着だが休み明けとしては及第点。叩いたぶんの良化があれば。

ケイティブレイブは前走の止まり方が気になる。多少ペースが速かったくらいであんなに負ける馬ではなかったはずだが…。レースで見せるパフォーマンス自体は一昨年の末から少しずつ落ちていて、年齢的なものもあるかもしれない。枠と騎手がいい分を加味して4番手評価。

以下、川崎2100mで【2-0-1-0】のコース巧者オールブラッシュ、昨年の勝ち馬ミツバまで押さえる。

デルマルーヴルはこちらもパイロ産駒でミューチャリー同様に追ってもなかなかエンジンがかからない。右回りでは重賞2勝を含む【3-2-0-1】、左回りでは【1-2-1-2】と、若干ではあるが左回りでパフォーマンスを落とす。好走した白山大賞典や名古屋グランプリはメンバーレベルがさほど高くなかったので、人気になるなら消して勝負する。

▽川崎記念予想▽
◎ミューチャリー
○チュウワウィザード
▲ヒカリオーソ
△ケイティブレイブ
×オールブラッシュ
☆ミツバ