【日本テレビ盃回顧】充実期を迎える7歳牝馬サルサディオーネが逃げ切り 長期休養明けのクリソベリルは6着敗退

2021-09-30 10:55:56三木俊幸
2021年日本テレビ盃を勝利したサルサディオーネ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

「JBCで頑張りたい」

「今までよりもテンのスピードが乗ってきている」管理する堀千亜樹調教師がそう語るように、抜群のスタートからハナを奪って日本テレビ盃(JpnⅡ・ダート1800m)を逃げ切ったのは7歳牝馬のサルサディオーネ。

断然の1番人気に推されたクリソベリルが直後の2番手を追走する中、スタートから12.1-11.5-12.5-12.6-12.3(61.0)と淀みのないラップを刻んでいき、隊列は縦長。クリソベリルが直後の2番手からマークしていたが、3角入口からは3馬身ほどのリードをつけて直線へ向く。

さすがにラスト2ハロンは13.0-14.4と失速したものの、4番手追走から差してきたダノンファラオの追撃を振り切った。過去に牝馬限定のダートグレードで3勝をあげていたが、今回はJpnⅠを制した実績のある強力牡馬相手に見事なレースだった。

騎乗していた矢野貴之騎手は、レースについて「道中は馬のリズムだけを守りながら乗った。最後止まっている感じはあったが、よく踏ん張ってくれた」とコメント。また堀調教師からは次走について「JBCで頑張りたい」という言葉も出てきた。

2021年日本テレビ盃をサルサディオーネ号で勝利した矢野貴之騎手


9月に入ってから戸塚記念、ゴールドジュニア、そして日本テレビ盃と重賞3勝をあげている絶好調の鞍上と、遅咲きの7歳牝馬のコンビは金沢の地で大輪の花を咲かせることはできるのか、注目したい。

復帰戦のクリソベリルは6着

そしてもう1頭、このレースで注目を集めていたのはチャンピオンズC以来久しぶりのレースとなったクリソベリル。この日の馬体重は546kg(-8)、斤量58kgを背負っての出走だった。

2020年チャンピオンズC以来のレースとなったクリソベリル


道中はサルサディオーネを見る形でレースを進め、4角から鞍上の川田将雅騎手の手が動き始めたものの、差は縮まらず残り200mを過ぎたあたりでダノンファラオ、メイショウダジンに交わされ6着。実力は抜けていたが、右後肢の輪状靭帯損傷というあまり例を見ない故障からの復帰戦はブランクを感じさせる内容で、もう少し時間はかかりそうな印象を受けた。

2着のダノンファラオは、他馬よりも早くパドックから出ていき先出し。馬場入場手前で馬場入りを待たされるハプニングもあったが、幸いにもイレ込む様子は見せず落ち着いてレースに向かうことができた。直線ではジリジリと差を詰めてきたものの、半馬身差届かず。欲を言えば差し切って欲しかったが、2000m以上の距離が合っているタイプ。距離が伸びればさらに前進可能だろう。

2021年日本テレビ盃2着のダノンファラオ


ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。

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