国枝厩舎との黄金タッグでGⅠ連勝へ! 戸崎圭太騎手の「買える条件・買えない条件」
東大ホースメンクラブ
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関東を引っ張る存在
今週日曜、阪神芝2200mを舞台に、世代を超えた中距離女王決定戦・GⅠエリザベス女王杯が行われる。BCフィリー&メアターフを制したラヴズオンリーユーやアイドルホースのソダシは不在だが、オールカマー4着からの巻き返しを狙う大阪杯覇者レイパパレや、マリリン・キートスと牡馬相手に重賞を制したウイン2騎、8戦6勝・未完の大器テルツェットなど骨っぽいメンバーが出揃った。
中心はアカイトリノムスメ。父ディープインパクト・母アパパネという三冠配合のもとに生まれた超良血馬は、桜花賞4着・オークス2着と届かなかったGⅠタイトルを秋華賞でついにつかんでみせた。勢いそのままに年長馬撃破を果たし、さらなる高みへの階段を上ることができるか注目だ。
同馬の鞍上を務めるのは戸崎圭太騎手。関東を引っ張るトップジョッキーとして長年活躍を続けており、土曜のGⅢ武蔵野Sでは有力馬ソリストサンダーにも騎乗予定だ。今週は同騎手の騎乗成績をチェックし、馬券で狙える条件と狙えない条件を探っていく(使用するデータは特記ない限り2017年1月5日~2021年11月7日)。
まずは戸崎騎手のここまでのキャリアを振り返る。
大井競馬所属ジョッキーとしてデビューしたのが1998年。帝王・的場文男騎手や剛腕・内田博幸騎手などとしのぎを削り、2008年に306勝で初の全国リーディングを獲得。翌2009年にはキャリアハイとなる387勝。フリオーソとのコンビでJpnⅠタイトルを4勝するなどビッグレースでも存在感を放ち、2011年には3歳馬リアルインパクトで安田記念を制覇する偉業を成し遂げた。
2013年に中央の騎手免許試験に合格。晴れてJRAジョッキーの仲間入りを果たすと、同年の阪神JFをレッドリヴェールで勝ち、2014年から3年連続でJRA最多勝利騎手の栄冠に輝いた。ルメール・デムーロ騎手の通年免許取得などの影響でリーディングからは遠ざかるも、堅実な騎乗ぶりで関東の第一人者としての地歩を固めていった。
2019年のJBCレディスクラシックでの落馬事故により長期離脱を余儀なくされ、ここ数年は勝利数こそ落ち込んだものの、復帰後はチュウワウィザードのチャンピオンズC制覇・ドバイWC2着、アカイトリノムスメの秋華賞など老け込むことなく実績を積み上げている。
国枝師とのタッグで堅実
<戸崎圭太騎手を「買える条件」>
国枝師管理馬×芝:勝率22.3%/連対率39.7%/複勝率48.8%/単勝回収率98%
社台RH所有馬:勝率12.4%/連対率18.5%/複勝率27.0%/単勝回収率146%
阪神ダート:勝率28.8%/連対率31.8%/複勝率45.5%/単勝回収率211%
52kg以下:勝率27.0%/連対率40.4%/複勝率50.4%/単勝回収率113%
まず回収率の高い「買える条件」についてチェックする。
調教師別では国枝栄調教師の管理馬との相性がいい。29勝はトップの数字で、そのうち27勝が芝でのもの。重賞でも6番人気以内で【4-6-3-8】複勝率61.9%、複勝回収率130%。アカイトリノムスメだけでなく、カレンブーケドールやサトノフラッグなどGⅠでも結果を残しているのが強みだ。その他ではエポカドーロの藤原英昭調教師、ダノンキングリーの萩原清調教師の管理馬でも好調。
馬主別では社台レースホース所有馬を推奨。芝・ダートを問わず回収率が高水準で、4・5歳とキャリアの円熟期を迎えた馬では【6-7-3-16】、ちょうど半数を馬券圏内に導いている。マジックキャッスル・ラストドラフトなど重賞でも好走例があり、覚えておきたいデータだ。
競馬場別では東京で勝率15%を超えているものの、関東圏とあって人気が集まりやすいぶん、単勝回収率は71%にとどまる。もっとも妙味があるのは阪神で、勝率17.9%・単勝回収率115%を記録している。特にダートは勝率が3割近く、全ての距離で単勝回収率が140%を超えている。同条件では年単位で見ても、直近5年のうち昨年を除く4度で単勝回収率100%以上、特に今年は510%という圧倒的な成績だ。
その他気になるデータでは軽斤量馬をピックアップ。52kg以下では複勝率が5割超え、1勝クラスからオープンまでどのクラスでも回収率が高い。特に牝馬限定戦では【16-9-2-13】複勝率67.5%と異次元の成績で、見かけたらノータイムで馬券を仕込みたい。
9番人気以下・267戦0勝
<戸崎圭太騎手を「買えない条件」>
9番人気以下:勝率0.0%/連対率3.0%/複勝率6.6%/単勝回収率0%
12月:勝率9.5%/連対率17.1%/複勝率27.0%/単勝回収率48%
関西4場×芝:勝率9.6%/連対率16.2%/複勝率27.4%/単勝回収率67%
次に「買えない条件」をピックアップ。
人気馬に騎乗し、そつのない競馬で好走させるのがデータ上の傾向とあって、穴馬での好走例はあまり多くない。特に9番人気以下の馬に限ると、期間内で267鞍の騎乗があるものの未勝利。先日の富士Sで9番人気のサトノウィザードを2着に好走させるなど2・3着はぽつぽつと見られるものの、複勝回収率も低調。基本的には消して馬券の点数を少なくした方が良いだろう。
月別では12月の成績が最も悪く、唯一勝率1割・複勝率3割を下回っている。特に芝では単勝回収率20%、114回の騎乗で7勝と落ち込みが激しい。ジェンティルドンナで引退の花道を飾った有馬記念が思い起こされるが、平均的には買いにくい条件。昨年は未勝利に終わっており、念頭に置いておくべきだろう。
関西4場の芝でいまひとつという点も特徴で、1番人気馬でも複勝率が5割を下回っている(水準は6割程度)。阪神に限り、2番人気以内で【5-1-4-5】複勝率66.7%と結果を出しているため、エリザベス女王杯のアカイトリノムスメは問題ないだろうが、中京や小倉などでは過信禁物だろう。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。秋GⅠシーズンに合わせ、新入部員募集中。
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