【東京新聞杯】参考レース振り返り 好データは前走エリザベス女王杯組、得意条件に戻るナミュールが中心

三木俊幸

東京新聞杯に出走するナミュール,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

出走予定馬の参考レース

2月5日(日)に東京競馬場で行われるマイル重賞、東京新聞杯(GⅢ・芝1600m)。過去10年でもリスグラシューやインディチャンプなど、のちにGⅠで大活躍する馬が勝利しており、今年も見逃せない一戦となりそうだ。特別登録馬は19頭。主な参考レースを過去10年のデータも交えて見ていく。

エリザベス女王杯【データ:A レースレベル:A】

過去10年の成績【3-0-1-1】勝率60.0%、連対率60.0%、複勝率80.0%

前走エリザベス女王杯組からは2014年ホエールキャプチャ、2016年スマートレイアー、2018年リスグラシューが勝利。2021年シャドウディーヴァが3着となるなど、最も相性が良い。

レース当日は午前中から雨が降り続き、重馬場で行われた。ローザノワールが前半1000mを1:00.3で逃げる中、11番手追走から直線大外に持ち出して伸びたジェラルディーナが勝利。勝ちタイムは2:13.0、ウインマリリンとライラックが2着同着だった。

今回は5着ナミュールと9着ピンハイが東京新聞杯への出走を予定している。

ナミュールは桜花賞こそ10着に終わったが、オークス3着、秋華賞2着とクラシックでは世代上位の力を示した。道中はジェラルディーナとほぼ同じポジションを追走していたが、最後は一杯となり0.7秒差。瞬発力が持ち味のタイプで道悪の2200mという条件に泣いた。

キャリア3勝全てをマイル戦であげており、瞬発力を生かせる東京コースも合う。久しぶりのベスト条件ということもあり、今回は勝利という結果が求められる。

ピンハイは馬体重410kg台の小柄な馬で、重馬場は合わなかった。チューリップ賞ではナミュールの2着、桜花賞5着、オークス4着、西宮Sでは1:44.3という好タイムで勝利したことからも、良馬場であればここでも能力上位だ。

マイルCS【データ:C レースレベル:A】

過去10年の成績【1-0-1-11】勝率7.7%、連対率7.7%、複勝率15.4%

馬券圏内への好走は、2020年の優勝馬プリモシーンと同年3着のクリノガウディーのみ。上位馬の出走が少ないこともあって、同じマイル戦のGⅠでありながら相性が良いとは言えない。

レースはピースオブエイトがハナを奪ったかと思われたが、3角で外からファルコニアが並びかけていき、先頭が入れ替わって前半800mを46.6で通過。直線に向いて一団となるところ、4角13番手だったセリフォスが大外から上がり33.0で豪快に突き抜け1:32.5というタイムで勝利した。

前走マイルCS組としては6着ジャスティンカフェ、12着ウインカーネリアン、13着ファルコニアが登録している。

ジャスティンカフェは15番手からレースを進め、直線では上位馬が外目から伸びるところ内を突いた。途中で前が塞がる場面もあり、スムーズならもう少し着差は縮まっていたはず。東京コースでの実績もあり、コース替わりはプラスに働きそう。

ウインカーネリアンは好スタートを切ったが、内で包まれる形となって結果的に7番手までポジションを下げてしまった。やはりスムーズに先行してこそのタイプだ。

ファルコニアは切れる脚がないということもあってか、より積極的な戦法に打って出たが相手も強く、展開も向かなかった。東京コースではエプソムC3着という実績がある。前走のように瞬発力勝負になると厳しいが、上がりを要する条件になれば、3着内への好走があっていい。

京都金杯【データ:C レースレベル:B】

過去10年の成績【1-2-3-24】勝率3.3%、連対率10.0%、複勝率20.0%

出走頭数が最も多く勝率こそ低いが、過去10年で3着内に入った回数も最多。しかし2017年にブラックスピネルが勝利し、エアスピネルが3着となったのを最後にここ数年は結果が伴っていない。

最内枠からベレヌスが逃げるもダイワキャグニーがピッタリとマークする形。前半800mが46.0というペースだったが、最後方のマテンロウオリオンを除いて馬群は一団となっていた。

直線に向いてプレサージュリフトが早め先頭に立ち、押し切りを図ったところ、最内から馬群を捌いてきたハンデ58kgのイルーシヴパンサーが差し切って勝利。勝ちタイムは1:32.7、馬場の内目を通った馬たちが好走した。

今年は2着エアロロノア、3着プレサージュリフト、4着ピースワンパラディ、5着カイザーミノル、6着オニャンコポン、7着タイムトゥヘヴン、8着シュリ、13着マテンロウオリオンと多数登録がある。

2着エアロロノアは2走前のマイルCS7着馬だが、右回りより左回りが良いという印象を受ける。引き続き条件は合うだろう。

3着プレサージュリフトはハンデ54kgの恩恵もあったが、差し馬が上位を占める中、先行勢で唯一好走。やはり左回り巧者でマイル戦に適性があるということを改めて感じさせた。

9番手追走から、唯一直線外を通って掲示板に入ったのが5着カイザーミノル。4着ピースワンパラディとはアタマ差、3着にはプラス1/2馬身差まで迫ったことなども考慮すると評価できる。

1番人気で13着だったマテンロウオリオンは、ただ一頭離れた最後方から全く流れに乗っていなかった。この大敗は度外視していい。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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