【AJCC】スタミナ、底力勝負に強いSadler’s Wellsやステイゴールドが好相性 有力馬の血統解説

坂上明大

アメリカJCCの傾向と血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

中山芝2200m(外)を舞台に行われるAJCC(アメリカジョッキークラブカップ)。特殊なコースレイアウトで施行されるため、中山芝2200m巧者には要注意の一戦です。世代間のレベル比較も重要なファクターですが、まずは血統面を中心にAJCCで求められる適性を整理していきましょう。

最初に挙げたい注目血統はSadler’s Wells。もともと後半の持続力勝負になりやすいコースですが、AJCCは連続開催の最終日にあることから、よりスタミナや底力が必要な一戦といえます。そこで強さを発揮するのが欧州で最大勢力を築くSadler’s Wellsであり、過去10年で4頭の勝ち馬を輩出するなど圧倒的な実績を残しています。

また、同様の理由からRobertoも注目血統のひとつ。元来、Sadler's WellsとRobertoは好走条件が似ており、AJCCにおいても両馬の馬力やスタミナは大きなアドバンテージとなっています。特に、Roberto系ではシンボリクリスエス→エピファネイアなどが出るKris S.系よりもブライアンズタイムSilver Hawkリアルシャダイなどのスタミナ系統の方が強さを発揮するため、Roberto系の分類にも注目してみるといいでしょう。

日本の最大勢力であるサンデーサイレンス系ではステイゴールドに注目。こちらも、このレースに限らずSadler's WellsやRobertoとは好走条件が似ているため、昨年11番人気で2着と激走したマイネルファンロン(父ステイゴールド)など複数の穴馬が好走しています。

血統別成績(過去10年),ⒸSPAIA


血統解説

・ガイアフォース
父キタサンブラック譲りの雄大、かつ伸びやかな馬体を有し、母父クロフネという点からも上がりのかかる競馬で強さを発揮するタイプ。ノーザンテーストの5×4や脚元のつくりから力のいる馬場も得意なクチでしょう。距離短縮で巻き返す可能性は高そうです。

・エピファニー
母ルールブリタニアは二冠牝馬ミッキークイーン(2015年オークス、秋華賞)の全妹で、NureyevやBlushing Groomを持つバランス型。エピファネイア×ディープインパクトは中山芝2200m向きとは言えませんが、父方のSadler's Wellsを増幅する形は2021年勝ち馬アリストテレスと共通します。本質的には距離延長も良く、折り合いさえつけば高いパフォーマンスを期待できるでしょう。

・ユーバーレーベン
昨年11番人気で2着と激走したマイネルファンロンの3/4同血の妹。母母父にブライアンズタイムを持ち、父はステイゴールド系ゴールドシップとこのレースと相性の良い血を豊富に持つため、適性面については文句なしの一頭でしょう。ただ、牝馬が調子を落としやすい時季のため、今回は体調面がポイントとなりそうです。

アメリカJCCの傾向と血統,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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